豆は「しあわせ」のタネである

飛竜頭の真相を聞く

飛竜頭、飛龍頭、ひろうす、ひりゅうず、ひりょうず

新聞連載「とうふ屋のある町は、いい町だ」を書かせていただくようになって、今まで以上におとうふ屋さんとお話をさせていただく機会が増えました。

同じ名前のおとうふや揚げの類いでも、お店ごとに呼び名や体裁が違っていたりして、面白いです。

過日、本当に「面白い(興味深い)」お話を聞くことができたので、忘れないように書いておきます。

それは、飛竜頭について。

 

飛竜頭」と書く店もあれば、「飛龍頭」とされる店もあります。最初に見たのは、嵯峨野の森嘉さんでした。「がんもどき」のようなま〜るいのに表示された商品名が読めなくて「これ、何ですか?」と訊ね、「ひろうす」と教わったように思います。

あれから幾年月、いろんなお店の「ひろうす」を食べてきました。回転焼きみたいな大きさの◯もあれば、スモモくらいのまん丸もあります。大・中・小と3種類作っておられる店もありました。

写真左:入山とうふ 飛竜頭の大と小

 

写真右:近喜商店 飛龍頭の大・中・小

 

どこのを買っても、ジュワ〜っと味の沁みたひろうすがあると、ゴハンやお弁当がうれしくなります。おでんに入れるのも好き。何となく特別な存在です。

 

「京豆腐 小川」の飛竜頭

小川さんの飛竜頭は大と小の2サイズを作られています。

(手元に写真が残るのは、飛竜頭の小)

この前、小川さんで大将にお聞きした話。ひろうすには「銀杏入り」と表示して、銀杏を2つ入れているそうです。「銀杏2つ入り」としないのは、ひろうすにほかの具も入れて丸めているときや揚げている最中に、銀杏が落ちてしまうことがあるそうで‥‥ 安全を期して銀杏を2つ入れるとお聞きしました。

実直なお商売をされている小川さんならではの考え方だなと、うれしくなりました。

 

「てづくりとうふ すがい」の飛竜頭

すがいさんでは、2種類の飛竜頭を作られています。おしながきに載る名前は「京飛竜頭」と「ぎんなん飛竜頭」。この2種類には、どちらも銀杏が入っています。

お店で丸っこいほうの飛竜頭をお願いしたら、奥さまが「こっちのも食べてみてください」と、△の飛竜頭をご紹介くださいました。お店でお聞きしたのは、京飛竜頭は竜をイメージしたもので、目玉は銀杏、鼻が百合根、ひげがゴボウ。だから、飛竜頭は竜の頭を模した形 ▽ で、中に銀杏、百合根、ゴボウが入っているのだそう。

OH! すばらしい! ちゃんと確かめなきゃ!

ということで、持ち帰って出汁で煮含めて、食べる前に中身をチェック!

 

本当に、ちゃんと入っていました! 竜のヒゲのごぼうが短いですが、これは最初に見つけた2つを使って撮ったから。食べ進めると、もっと長いヒゲが何本も入っていました。

すがいさんの京飛竜頭は、京都で「おばんざい」という言葉を最初に使い始めた大村しげさん(故人・今年は生誕100年だとか)と関係してるそう。深い話を聞きたい方は、すがいさんに京飛竜頭を買いに行って訊ねてみてください。

 

飛竜頭の由来を調べると、「ポルトガル語のfilhos(フィリョース)という揚げ菓子」と出てきますが、京都人(大村さんや菅井さんたち)は、ちゃんと「竜」を想像してとうふ屋の商品に昇華させられたのですね。

絵心がなくて恐縮ですが、生誕100年の大村しげさんと菅井さんに敬意を込めて‥‥

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

豆行事や催しなど

2024年 4月
« 3月   5月 »
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30      

Plofile

豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
Instagram

バックナンバー