豆は「しあわせ」のタネである

11月15日に「赤飯の日」を考える

毎月1日と15日は「赤飯の日」

というわけで本日11月15日も「赤飯の日」です。そのことを声に出して言い始めたのは4〜5年ほど前から。北海道の辻本宜子さんと二人、「毎月1日と15日にお赤飯を食べましょう!」と、赤飯運動なる活動を始めました。

 

もともと日本には、おついたちと15日に神棚のお榊を新しくし、神さまにお赤飯やお神酒を供える風習があったと聞きます。私の実家でも母が毎朝、炊き立てのごはんとお水を神棚と仏壇に供えていました(残念ながら赤飯を供えていた記憶はありません)。

実家は兼業農家をしており、先祖代々の田んぼで米や麦を栽培し、少しばかりの野菜も作っていました。梅干しも母が漬け、昔ながらの赤く塩っぱい梅干しをいまも送ってもらっています。そんな家に育ったから、神棚とか仏壇とか、親戚づき合いなどは日常茶飯事で、恩とか義理とかを大事にすることが当たり前に身に付いて大人になりました。

 

自分で赤飯をつくること

豆好きとは言いながら、黒豆の煮方も、赤飯の作り方も、味噌の仕込みも、ここ5年〜15年くらいの間に自分で手探りで身につけました。

赤飯は最初、炊飯器で作り大失敗。そして、ネットで方法を探り、なんとか炊けるように。その後、蒸し鍋を使って蒸したりする方法も習得。お世話になっている穀物屋 森光商店では、蒸篭で蒸す和菓子屋さん直伝の赤飯の作り方を見せていただいたことも。

蒸して作る赤飯はふっくらとして美味しく、常温に冷めてからもかたくなりにくいから、そのまま食べてもおいしいのです。炊飯器で作る赤飯は炊き立て、温かさが残るうちがおいしくて、冷めたら少し温めるほうがふっくら感がもどっておいしいように感じます。

いずれにせよ、会社勤めを兼務したりしていた頃は、前の晩から豆と餅米を仕込んで当日朝から蒸して赤飯を作るだけの時間がとれませんで、必然的に炊飯器で炊くお赤飯が日常になりました。米を洗い、豆を茹でて、仕掛かりから1.5〜2時間もあれば、おいしいお赤飯ができるのです。

 

赤飯教室

ことしの8月から、皆さんと一緒に赤飯を作ろうと思い立ち、赤飯教室を始めました。

いちばんのキッカケは、妊婦の友人がお母さんになるまでに赤飯の作り方を覚え、何度か練習して、できることなら出産後は赤ちゃんのために自分でお赤飯を作ってあげてほしいと思ったこと。

11月1日、彼女は無事に女の子を出産し、お七夜に自分でお赤飯を作ったそうです。ありがとう、Mちゃん

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私が母になることはなかったから、無意識に自分にできない願望を人様に託したのだと思います。お七夜とかお宮参り、お食い初め、初誕生、七五三と続くお祝いごとのたびに、お母さんが我が子にお赤飯を作ってお祝いしてあげてほしい。と‥‥ そんな勝手な願いを叶えてくれて、Mちゃん、ありがとうございます。

 

あずきミュージアムの展示図録

姫路にある「あずきミュージアム(御座候の施設)」に行ったとき、オールアラウンドなあずき情報に仰天しました。種類の豊富さや栽培地域、歴史、あずきに関する様々な情報が網羅され、半日かけてもまだ見たりないくらいたくさん展示されていました。

時間の関係で、仕方なくミュージアムを後にするとき購入したのが展示図録。=あずきのバイブル、いまでは私の宝ものの一つになっています。

そこにも「人生の通過儀礼とあずき」と題し、どんな時にどのようにお赤飯を用いるのかが掲載されています。この図録の内容も、赤飯教室であずきミュージアムとともに皆さんにご紹介しています。

 

お赤飯はおめでたいことの象徴?

誕生日、結婚、出産、七五三や‥‥ お祝いごとの席にお赤飯は似合います。「おめでとう」の気持ちを伝えるのにピッタリです。おめでたいシーンを祝う赤は縁起色としても用いられています。

しかし、あずきの赤には邪気を祓う魔除けの意味もあります。魔物が子供に憑かないように枕の中に入れたり(昔は蕎麦殻とか使われていたのですよね)、お手玉に入れたり(ハトムギの数珠玉と小豆一緒に縫い込んだそうです)していたとか、お祓いのとき供えたとか、そんな話も伝わっています。

日本全国を訪ねると、地域によっては仏事の日晴れに赤飯を配る地域もあるそうです。

「毎月1日と15日は〜 」の赤飯運動を始めて2年目くらいの頃、困ったことが起きました。今日では人々の記憶の中でしっかりと「おめでたいことの象徴」イメージが定着したお赤飯ですから、災難や凶事の頃に「お赤飯を食べよう」と言っていいものか、タブーなのか‥‥ 東日本大震災が発生した直後、赤飯運動実行委員会を解散するか、活動を休止するほうが良いのではないか‥‥ と、実行委員長の辻本さん(私は事務局をしていました)とともにずいぶん悩みました。邪気を払うとは言え、お赤飯に込める真意を伝えられぬまま、人様のつらく哀しい出来事に、お赤飯うんぬんはタブーに思えました。

 

11月15日、日本では子どもたちの健やかな成長を願う七五三の日です。パリでは129名の方が無惨な死に直面され、多くの負傷者がおられます。知り合いの店がパリにあり、昨日のニュースを知って、その店の関係者の安否が一番に浮かんできました。皆さんのお知り合いも、たくさん心配な方がおられることと思います。

いま、また東日本大震災直後の迷いが自分の中によみがえってきて、答えが出せぬままに歳月が封印していた想いを感じています。

あずきの赤は邪気を払う、人々の健康と平和を願う気持ちはありますが、今日、私は赤飯を作ることができませんでした。ただしずかに、亡くなられた方々のご冥福を祈り、無意味な争いや損得勘定での殺傷行為がこの世からなくなることを強く願います。

気兼ねなくニコニコと赤飯を作る。おめでとう、良かったね、がんばってねと赤飯をお届けする。やっぱりお赤飯は、おめでたいシーンに捧げたい食べものだなと思います。どうぞ、世の中が平和で、世界中の誰もがひもじいおもいをすることなく、ほほ笑みを浮かべて暮らしていけますように。11月15日の念いをここに記します。

 

 

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら

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