豆は「しあわせ」のタネである

仙太郎の「桜もち」は手づかみで

2018.02.28

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桜餅の葉っぱって、食べていいんでしょうか?

莢(さや)の内側に入っている「そら豆の皮」や、桜餅の葉っぱ、人により食べたり食べなかったりですね。あなたは、どちら派ですか? 私は「食べる派」を通してきました。しかし、昨年秋から「桜餅の葉っぱは残すのがツウなんだ!」と知り、この春から残すよう心しておりました。

敬愛してやまない藪光生 先生(全国和菓子協会 専務理事)のご著書『新 和菓子噺』のP20〜21に桜餅についての記述があります。

移り香を愉しむ桜餅

 〜桜餅の桜の葉は、塩漬けにした独特の風味を持つものです。桜の葉は生のままでは、あの独特の香りはありませんが、塩漬けにすることによりクマリンという芳香成分が生まれます。この香りがなければ桜餅の魅力は半減してしまうでしょう。勿論、桜の葉は食べても差し支えはありませんし、細かく刻んで和菓子に利用することもあります。

 しかし、桜の葉と一緒に桜餅を食べたなら、それは強い風味を持つ桜の塩漬けの味ばかりが強調されて本来の餅や餡の繊細な味わいを感じることはできません。それでは桜餅を愉しんでいることにはならないのです。

 桜の葉をむくと、餅に桜の葉の独特の香りが移っていることがわかります。餅や餡の風味と桜葉のほのかな移り香が絶妙の調和を生み出しているのです。勿論、餅を食べる合間に塩漬けの葉を少々かじってみるのも味の変化という意味では一興です。しかし桜餅はやはり桜葉の香りが移った餅と餡の調和を味わうのが本来の食べ方と言えます。〜

私にとって、藪先生の発言は「絶対」でした。桜餅の葉っぱは食べてはならない、と昨秋 強く胸に刻んだのです。

 

仙太郎の「桜もち」は、色白にして二枚葉で

昼間、自転車でおとうふ屋さん探検中に、仙太郎さんの本店の前を通りました。「明日から3月」と思ったら桜餅が食べたくなって‥‥ うぐいす餅といっしょに買いました。

桜もちを味わいながら、紙箱に貼られた『和菓子歳時記』を読んでいたら、葉っぱを残すのに気がとがめました。

私共のつくる桜もちは道明寺製、中はこしあん。二枚の葉に挟む。もち生地はよくある淡紅色ではなく生成の白。葉を二枚で包んだのは、ピンク色に負けるその地味な生成の色をカモフラージュせんが為。

 葉ごと食べるのが通人とか? 塩漬けにした葉っぱ故、いわば、おつけもの。勿論、召し上っていたゞけるし、召し上っていたゞきたい。だが二枚共全部はいかゞなものか? 塩味が強すぎはしまいか? 消化は大丈夫か?

軸の部分とかは、それをもつ手指に残された方が良いのでは…、そして是非手づかみで食べていたゞきたい。黒文字等でつゝきまわさず、あっさり〝パクリ〟〝ムシャリ〟とやっていたゞきたい。〜

と記されています。

作り手が食べる人のことを想い、塩が強くないか、消化に悪くないか、軸は残すほうが良くないか、と心底考えて作られています。食紅で色をつけることをせず、2枚の葉っぱで包んで‥‥

ちなみに、仙太郎さんの桜の葉は、伊豆と丹波の自社工場で採取した大島桜を1年間塩漬けにして使われていると書かれています。純国産の自社製造。「天からの授かり物として(葉の)大小厭わず使われている」そうです。

とことんまで食べる人のことを考えて、和菓子に成りきり、できる限りの最上を目指す。その志が伝わってくるのです。

 

結果、先に移り香を愉しみながら桜もちを味わい、葉っぱも‥‥

軸を残して完食。あぁ、藪先生、ごめんなさい(笑)

仙太郎さんの桜もち、こしあんなのも納得です。

歳時記しおりのおかげで、葉っぱのマナーを再考するキッカケをいただきました。

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コメント

    • 林 真悠
    • 2018年 3月 01日

    私は桜餅の葉も一緒に食べる派です!
    とは言っても、五木さんのブログを拝見して、桜の葉は香りを楽しむのにあるものだと知りました。一つ勉強になりました✿ありがとうございます!

      • Nodoka
      • 2018年 3月 01日

      3月。桜もちの似合う季節ですね。関東型と関西型、私は俵おにぎり型の道明寺に粒あんが好きです。
      桜の葉っぱの移り香を愉しんでください。葉っぱは、あとのお愉しみ

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豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら

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