豆は「しあわせ」のタネである

滋賀県シンポジウム3 上田上小学校の取組み

子どもたちが2年がかりで、タネからつくる味噌

4月21日に参加した「アリス・ウォーターさんに学ぶ 食・農・暮らしの持続可能な未来」シンポジウム、第2部は県内3つの小学校の取組みを、その学校の先生が発表されました。

・大津市立上田上小学校

・近江八幡市立島小学校

・草津市立渋川小学校

 

アリスさんは実際に小学校を回り、子どもたちと語らう時間を持たれたそうです。

3校とも素晴らしい取組みをされていました。その中で、私の胸に届いた豆っぽい教育が2つ。

一つは、渋川小学校の子どもたちが福島の仮設住宅に暮らすおばあちゃんに教わって、ずんだ餅をつくったこと。そのずんだ餅をおばあちゃんたちに送り、おばあちゃんたちからも自作のずんだ餅が届き、同じタイミングでずんだ餅を味わったお話。

子どもたちが作ったずんだ餅の青大豆は、学校の畑で育てた枝豆を使ったそうです。

 

タネを撒いて収穫、そして味噌を仕込む

心がふるえた もう一つは、上田上(かみたなかみ)小学校の大豆栽培と味噌作りです。

小学生が自分たちで大豆を育て、その大豆で味噌を仕込む‥‥ そんな素晴らしいことが行われているなんて、スゴイ! というのが、率直な感想です。

小学生の活動を、校長先生が画像を見せながら説明してくださいました。

・5年生が作った大豆とお米を使います

・大豆の選別 味噌に使う大豆と、4年生に渡す大豆を分けます

・5年生は、6月に大豆のタネをまきます

・9月にお米を自然乾燥させました

・11月上旬に大豆の刈り取りをします

・収穫した大豆を自然乾燥させます

・11月下旬に、自然乾燥させた大豆を足踏み式脱穀機で脱穀します

・翌年2月6日から、味噌造りが行われました

 蒸したお米を発酵させます

・2月7日に、発酵させたお米の天地返し

・2月8日に、麹菌と塩を混ぜて、(農工房ひらのさんが、水にもどして茹でるか蒸すかして、つぶした)大豆と混ぜ合わせ

・子どもたちの手で、樽に詰める作業

・味噌を9ヵ月寝かせます。子どもたちは6年生の11月、出来上がった味噌を袋詰め

・その味噌を使って、今年の2月16日に「みそ造り感謝祭」が行われました。

卒業を1ヵ月後に控えた6年生が、みそ造りをサポートしてくださった農工房ひらのさんをご招待し、そのみそでつくった料理を振る舞いました。

(校長先生のお話をざっくりメモ書きしたので、もしかすると取り違えがあるかも‥‥)

 

豆好きの思い

大豆のタネをまいて発芽し、成長して花が咲き、枝豆ができて、完熟した大豆を収穫。さやが乾燥したら実をとって、大豆ができて‥‥ 子どもたちは「大豆の一生」を体感したのですね。

味噌を自分たちで仕込んでも、その日には味噌にならないこと。熟成期間をおいて、ようやく味噌ができること。

自分たちで作った枝豆や大豆を食べる喜び、ご家族に食べてもらう喜び、大豆から味噌をつくることを体験する喜び‥‥

子どもたちはこの2年間で、生涯の宝となる経験をしたのですね。こういうのを本当の「食育」というのではないかと思います。

あぁ、もし私に子どもがいたら、滋賀県の上田上小学校に通ってほしい。父兄会に行きたい。と、本気で思いました。

 

少し前に、著名な味噌の会社の社長さんが「子どもたち向けに開催される味噌づくり教室を個人的に反対だ」と述べておられるのをお聞きしました。子どもたちは「自分で作った味噌はおいしい」と喜ぶそうです。

味噌の会社で作る味噌の製造環境や品質管理の厳しさからすると、子どもたち(おそらく大人も?)が、自分たちで作った味噌を「おいしい」と思い込むのはいかがなものか、というようなニュアンスに私は受取りました(誤認があればお詫びします)。

上田上小学校の校長先生のお話を聴きながら、あの時の味噌の会社の社長さんの話を思い出しました。

子どもたちの作る味噌と、味噌のスペシャリストさんが作られる味噌は、「おいしさの質」が違うのだと思います。

子どもたちの味噌は、うれしい、楽しい、お友だちと一緒にがんばった、汗をかいた、身体を動かした、先生やサポートしてくださる人たちとたくさん話した、家族に話した、みんなに食べてもらうことができた、‥‥そういうたくさんの経験が醸し出す「おいしさ」なのだと思います。

子どものときに自分で作った味噌を味わった経験を持つ子どもは、大人になってからも、醸造アルコールを使わずに熟成発酵させた味噌のおいしさがわかると思うのです。自分で作るから、手づくりの味噌や、職人さんが手間ひまかけて愛情を注いで作られる味噌の価値が、わかる大人になると思うのです。

 

私は、子どもたちが大豆を育てて味噌をつくり、大切な人たちに食べてもらうことを、とても素晴らしいことだと思います。このような取組みに力を入れる滋賀県って、スゴイと思います。

エディブル・スクールヤード、SDGs、今回知ったこれらのことを、もっと深く知りたいと思いました。

 

◆シンポジウムの概要が滋賀県のHPに掲載されました

〈5月30日〉 追記します

http://www.pref.shiga.lg.jp/a/kikaku/sdgs/symposium_2017.html#alice

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら

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