豆は「しあわせ」のタネである

北海道 上士幌町・村上農場の「栗豆」

栗豆のシュトーレン レッスン開催しました

イヤーシュトーレンを作り始めて4年目、今年のシュトーレンには「栗豆」「栗」「クリームチーズ」「クランベリー」を包みました。名前は「栗&クリクラ」シュトーレン。カタカナの「クリ」はクリームチーズとクリスマスを掛けました。

土曜日、シュトーレンづくりのレッスン開催。

午前の部、午後の部にご参加くださった皆さま、ありがとうございます。京都のみならず、滋賀県や兵庫県加古川市からもご参加いただきました。

初めてシュトーレンを作る方も、作った経験がある方も、ちゃんと出来上がりました。

人によって、形がちがうのが手作りならでは。断面も切る位置によって、表情が変わります。

クリスマスまでのカウントダウンを楽しんでください。

 

栗豆の栽培について

栗豆は北海道 上士幌町産を使いました。とても希少な豆で、流通にのるのは極めて少ないと思います。私は、かつて農業研修で2回お世話になった村上農場のものを分けていただいています。

この豆は栽培するのが難しい豆だとお聞きしています。どんなところが難しいか、農場長にお訊ねしました。

「栗豆は花豆と同様に竹の手蔓を登らせます。他の蔓豆などに比べ収量が少なく、収穫のタイミングもシビアな為、栗豆の濃い紺色の状態で収穫するには、収穫が近くなると、その見極めが大切です。
サヤも割れづらいのでニオ積みしてしっかり乾燥してからでないと、サヤに豆が残ってしまいます。ですので、ニオ積み作業が必要な為、栽培する農家も減っています」とお教えいただきました。

私は、栗豆が育っている姿を見たことがありません。しかし、白花豆や紫花豆、栗豆など、手竹を刺してツルを登らせる豆は見たことがあります。畑に種を蒔くのもお手伝いさせていただきました。豆の収穫やニオ積みも経験しました。豆を育てることは、ラクではありません。

手竹を必要とする豆は、無しでも育つ大豆などより何倍も手間がかりです。大豆は補助金が付くけど、ほかの豆にはありません。

栽培が大変なことと、収穫量が少ないこと、生産者さんの高齢化、後継者不足などで年々栽培する農家さんが減っています。このままいくと、農家さんの自家用だけで流通には出なくなるかもしれません。

 

栗豆調理について

栽培が難しい栗豆は、使うのもかなり難しい豆です。収穫量が少ないと聞いていますが、水戻しの際、歩留り(戻らない豆)もほかの豆より多いように感じます。

ふつう、豆は1晩くらいで戻るものが多いのですが、栗豆は丸1日水浸けしてもまだシワが伸びていない豆がけっこうあります。何度か使ってみて、最近は36時間〜40時間くらいを目処に水戻ししています。

それでも戻らない豆がR6年産の新豆で300gに50〜60粒ほど。それを更に2日くらい水浸けしたままで10〜15粒くらい戻りません。水に戻らない豆は「石豆」と呼ばれ、天災や飢饉などを生き延びるために固く身を守り、命をつなぐ豆なのだそう。

栗豆は在来種の豆だから、人間の都合に沿うよう品種改良された豆とは違い、豆の都合で生き長らえようとしている生命力旺盛な豆だと感じます。

使いづらい豆だから、おそらく業務用や量産される食品、飲食店に採用されることは困難です。歩留りも多いし、利潤を上げるには不向きなのです。

だから、私が使おうと思いました。こんなに生命力旺盛な豆の話とともに皆さまにご紹介することで、栗豆の存在を知ってもらいたいと思いました。

栗豆への思いを話して、栗豆のシュトーレンを味わっていただければ、私が亡くなったあとまで私より若い人が生きている間は、「あの豆好きなおばさん」の記憶とともに栗豆の記憶が人の記憶に残るのではないかと思いました。

北海道で育つ在来種の栗豆を、皆さんの記憶に残していただき、よろしければどこかでまた、栗豆を食していただくことで栽培が続いていく一助になればと願います。

水戻し、水煮、シロップ浸け、それぞれの段階で水戻りの悪い豆を目視でピックしましたが、もし、シュトーレンの中に少しカタイ豆が混じっていたら、それはたくましく生き残ろうとする豆の生命力を秘めた「当たり!」の豆だとご容赦ください。

栗豆と生産者さんへの感謝を込めて、大切な方々にお届けします。豆なシュトーレン2024が安らぎのひとときをもたらし、「長生きのクスリ」となれたらうれしいです。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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