豆は「しあわせ」のタネである

【山形県鶴岡市】奥田政行シェフのガストロノミー・ツーリズムにて

ガストロノミー・ツーリズムとは

ガストロノミー・ツーリズムの先駆者といわれる、あのアル・ケッチァーノ 奥田政行シェフのご著書によると、

食べることを通して、

その土地の食べ物から、その土地の歴史が見えてくる。

その上で地域の文化財を見ると、食べ物からの答えとつながり、より感動する。

その土地に受け継がれている料理から、その土地の土と水を知る。

それは地理へとつながり、地球規模で地域が見えてくる。

そして食べ物から歴史的地理的背景を知ることで、

その土地の未来の食文化へとどうつなげていくか? のヒントを得られる。

つまり大きな視点で、歴史の中で、地理の中で、

自分の立ち位置を知ることができ、

自分のできることで行動を起こす、きっかけになる。 〜

奥田政行シェフの著書「ハッピー ガストロノミー ツーリズム」より

食を通して、知らない土地の歴史や食文化を知り、生産者さんと飲食店さん、地域の方々への敬愛を深める体験型ツアー、といった感じでしょうか。

9月16日〜18日の2泊3日で開催されたガストロノミー・ツーリズムの初日と、2日目午後まで参加させていただきました。

豆につながる発見は、一つ前のブログ「【山形県鶴岡市】にて出会った、豆っぽいの」に書きました。ここでは本命の、だだちゃ豆セミナーと、だだちゃ豆のフルコースについて記します。

 

だだちゃ豆セミナー

初日のお昼にアル・ケッチァーノ アカデミーで開催されたセミナー。

だだちゃ豆の権威 赤澤 經也(つねや)先生と、山形大学の江頭 宏昌(ひろあき)教授の講義をお聴きする好機にあずかりました。

▲ 赤澤先生は現在81歳。長年、仕事で枝豆研究に従事され、退職後もだだちゃ豆の育成に尽力してこられました。2000年から2023年まで時間をかけて、新品種のだだちゃ豆の育成に成功。「赤澤2号」「赤澤3号」の名がつくこの品種は、大莢で甘みが強く、9月中旬以降に収穫できることから産地でも注目されています。

晩成茶豆系統の枝豆をタネ取りしながら25年選抜栽培し続け、15年目に突然変異が出てきたそうで、そこから自然交雑でタネを選抜し、現在までつないできたとのこと。

赤澤先生の新品種記者発表にはテレビ局10社が集結し、無償でタネを分けることを発表されたら300軒の応募があったとか。そのうちの送り先住所を伝えてこられた150軒にタネを送ったそうです。日本各地にだだちゃ豆のタネが配られ、どう育っていくのか‥‥?

セミナーでは実際に、「赤澤3号」を味わわせていただきました。

鮮やかな緑色のしっかりしたサヤ。だだちゃ豆にしてはサヤ、粒ともに大きな豆。アル・ケッチァーノ  アカデミーの厨房で調理され、とても心地よく甘みの強い、おいしい食感に仕上がっていました。

白山だだちゃ、白山早生、赤澤3号のだだちゃ豆3種食べ比べの中で、私は赤澤3号が好きでした(早生白山と白山だだちゃは、収穫時期に冷凍保存されたもの)。

赤澤先生や江頭先生と同じテーブルで、だだちゃ豆の食べ比べをしながらお話をお聴きすることができました。

 

▲ 山形大学の江頭先生にお目にかかるのは、3回目の鶴岡訪問にして3回目。前の2回は、十五代治五左衛門 石塚さんのご縁で、大学の研究室にてお話をお聴きしました。

今回初めて知ったのは、奥田シェフと江頭先生はともに鶴岡の在来作物研究に尽力され、鶴岡が日本初の「ユネスコ食文化創造都市」認定を受けることにつながった立役者でした。

江頭先生のだだちゃ豆講義、東日本と西日本では枝豆成分が異なること、晩生の「尾浦だだちゃ豆」「平田だだちゃ豆」「赤澤3号」などは、糖含量が多く甘みや旨みが強くなること、「八里半」豆の話などをお聞きしました。

お月見行事に枝豆をたしなむ文化は100年以上前から存在し、葉酸やビタミンBを多く含むだだちゃ豆をたくさん食べることで、自然に夏バテしない身体ができていくのだそうです。

成分の名前「2アセチル1ピロリン」をお聴きし、呪文のように繰り返し覚えました。

枝豆は、よく陽が当たるてっぺんが、いちばん甘いそうです。葉蔭になる下のほうは今イチ、な〜るほど勉強になりました。

 

だだちゃ豆のフルコースを堪能

▲ このだだちゃ豆は、赤澤3号。カニがで〜んとのっかって、豪華!

 

▲ 鶴岡では、だだちゃ豆の味噌汁が家庭料理であることは知っていましたが、水にだだちゃ豆と味噌を入れて煮るという本場の作り方を初めて知りました。

別名「カニ汁」と呼ぶそうです。

 

▲ 好きすぎる。おいしすぎるリゾット。海老や蟹の成分と同じ成分が、だだちゃ豆にはそなわっていることを料理を通じて記憶することができました。正に食育。

 

▲ 壺に入っているのが、だだちゃ豆のクリーム豆腐。だだちゃ豆アイスにかけているのは、みりんです。

 

▲ サラダにかかるドレッシングは、だだちゃ豆フレーバー。「だだちゃ豆に足りないのは油脂分。オリーブオイルを加えて混ぜることで、ピスタチオのプラリネのような味になり、フランス人好みに」と、奥田シェフに教わりました。

私も、このドレッシングが好き。ということは、味覚はフランス人?

 

赤澤先生のお話をお聴きしながら赤澤3号をふんだんに食し、江頭先生のお話をお聞きしながら、カニがのっただだちゃ豆をつまむ。しかも、両氏と同じテーブルに御席を賜る栄誉。
ただ、ただ感涙でした。

鶴岡をこよなく愛する奥田シェフの真ごころと、おもてなしの心にあふれたイタリアン、この日のこと、一生忘れません。

皆さま、ありがとうございました。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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