豆は「しあわせ」のタネである

福岡県八女市のとうふを味わう

取材で九州を廻る

大分から戻りました。今回の出張は熊本・久留米・春日・大分の3県を廻りました。その2日目、久留米にある食材の製造工場を訪問したときのこと。

9時スタートより少し早く着いたら、工場長さんが待ち構えてくださっていて、会議室に通されるとそこには豆腐がありました。

「あなたが来るから食べさせたくて、今朝買ってきたよ」

「店は6時から開けてるから、出来立ての豆腐だからね」と。工場からおそらく30分以上かかるであろう豆腐屋さんへ工場長自ら、わざわざ行ってくださったそうです。有り難くて、もったいなくて、取材の前にしみじみとご馳走になりました。

 

井上豆腐店のとうふ

「今朝できたて」のとうふは、まだほんのりと温かくて、ふわりと軽やかな食感です。

「おいしい豆腐は、何もかけないでそのまま食べるのがおいしい」と最近の私は思っていますから、何もかけずにいただきました。茹でた大豆の味わいが口の中に広がります。「工場長はこの味を食べさせたいと思ってくださったんだ」と思いました。

大豆を水にもどして茹で、すりつぶしてとった豆乳にニガリを加え、かためてつくる豆腐。すまし粉でかためるより、ニガリのほうが加えるタイミングの幅が狭いと教わったことがあります。

豆腐の8〜9割は水でできていると聞きますから、福岡県八女市上陽町の井上豆腐店のとうふには、私のふるさと八女の水がいっぱい含まれていることになります。私にとっては「身土不二」の豆腐なわけです。「生まれ育った土地のとうふは、身体にやさしい」と想像しながら口にしました。

工場長、ありがとうございます!

 

What happening ?

帰りに工場長が持たせてくださった2種類の豆腐は、寄せ豆腐とピーナッツとうふでした。工場のあとに3カ所廻るから、2カ所目に豆腐を預け、ひょんなことから冷凍保存に! 皆であたふたしたけど大丈夫(^^)

凍ったまま持ち帰って冷蔵庫で解凍し、けさ1時間半ほど室温において食べたら、違和感はありませんでした。

やや肌色味が感じられるピーナッツとうふは、独特の香りと、微かに広がるピーナッツのなめらかな味わいです。

福岡県(旧)八女郡上陽町尾久保が生家だった母は、八女市上陽町北川内の井上豆腐店を知っているようで、うれしそうに食べていました。

母が喜ぶと、私もうれしい。井上豆腐店のおとうふを、仲よく母といただきました。

大日方工場長、ご馳走さまでした(^^)

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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