豆は「しあわせ」のタネである

東山区宮川町 千代とうふ

とうふ屋のある町は、いい町だ

もう何回このフレーズを書いたかわかりません。

1軒のとうふ屋さんが商いをして存続していけるくらい、お客さんがとうふを買いにくる。ご近所づきあいや祭り、子どもの遊び場なんかが今も残っている。町の風情と人情が、やさしく残る京都らしい京都を感じる界隈。

観光で訪れる通りではないけど、いえ、むしろ人々の生活の営みある界隈をそのまま静かに残しておきたいエリア。一見さんが足を踏み入れるときは、少し遠慮がちに、お行儀よくそっとお邪魔してほしいかな。

京都の細い路地を自転車で通っていると、とうふ屋さんのある通りが愛おしく映ります。

 

千代とうふ(ちしろとうふ)

1月に、この近くで写真を撮る用事があり、通りがかりにたまたま見つけました。

私のイメージにある「とうふ屋のある町は、いい町だ」を絵に描いたような、京都のおとうふ屋さん。その日は写真を撮っただけで素通りし、あらためて自転車で訪ねてみました。

2回目は息子さんが店に出ておられました。お父さん(二代目)は配達に出ておられるとのこと。

「とうふ好きで、おとうふ屋さん巡りをしています。ここのおとうふは初めてなので、おすすめの商品を教えてください」

おとうふは、皆さん木綿と絹の間のやわらかいとうふを買われます。入れもの、ありますか? なかったら切って入れときますね」。彼の手のひらの上で、とうふは半分に切られ、白い容器に入れてくださいました。「今日のとうふは、特においしいです。帰ったらタッパーとかに入れて、冷蔵庫にお願いします」と。

この店はいまも、お客さんがボウルやタッパーを持って買いにくる店なんですね。うれしい‥‥

「日持ちを考えて、ほかに買っていいのは、どれですか?」

生ゆばも、おいしいですよ」「おあげはいかがですか?」と、勧め上手なお兄さん。言われるままに買って、1,090円を支払いました。

何ともナイスな青年は、バーテンさんも似合いそう。ラーメン屋にスカウトしたいような気骨ある青年でした。

 

お店のこと

千代とうふ

京都市東山区新宮川通松原下る TEL 075-561-4484

日曜定休日 営業時間は 朝〜18:00

創業者は今回話した彼のおじいさん。現在は86歳で、26歳のとき店を始められたそう。

 

付近の様子

宮川町の手前で、お稽古から急ぎ足で帰る舞妓さんと出くわしました。店のある静かな通りは、石畳もきれい。鴨川沿いの桜並木が楽しみなエリアです。

牛若丸と弁慶の決闘が行われた伝説の「京の五条の橋の上」(五条松原橋)も、すぐ近く。清水寺、六道珍皇寺などは徒歩圏内。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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