豆は「しあわせ」のタネである

長岡赤飯の江口だんご本店へ〈2〉

長岡市宮本東方町にある 江口だんご本店

長岡滞在3日目(最終日)、午前中の取材を終えて向かったのは、バスで30分くらい行くところにある江口だんご本店でした。

同じバスから降りた女性に、江口だんご本店の場所を訊ねただけなのに、商品が買えるところ、食事や喫茶は2階にあること、体験ができることなど、とても丁寧に教えてくださいました。ご近所さんに評判の高いお店、期待できます。

敷地に入る前から、その店構えの醸す雰囲気に感じるものがありました。

大きな串だんごが目印。入口に植えられた「もちの木」、風情ある通路に土間、祝日に来られた多くのお客さまが店の中にあふれていました。。。お昼どきです。もちろん、喫茶スペースも順番待ち。

記名の6番目か7番目くらいに名前を書いて、待ち時間30分以上と表示されていました。あぁ、ここまで来て「蒸かしたて」が食べられないかもしれない‥‥、そう思ったら、もう、泣きそう‥‥

 

お店の方に相談し‥‥、江口社長につないでいただくことができました。

社長は「順番が来るまで、店をご案内しましょう」と、奥の和紙コーナーに連れて行ってくださいました。建物奥に広がる庭、その奥の畑と山が借景となり、一面にひろがる夏の緑のグラデーション。京の小さな小さな薄暗い光の坪庭に慣れている私の目には、炎天下の真緑色が一瞬にして郷里の田畑を思い起こさせてくれました。

 

広さを強調するのは、庭に1本だけ植えられた木。あれは、枝垂れ桜でしょうか?

 

念願の「蒸かしたて長岡赤飯」を頬張る

順番が来て、私は2階の喫茶スペースへ。窓には先ほどの緑色の空間を、少し俯瞰した位置から眺めることができます。

長岡赤飯御膳に、だんご屋プリンのセット。まずは前菜から。玉蒟蒻は甘味噌で、サツマイモのオレンジ煮、切り干し大根。だんごの箸置きが愛らしい(^^)

そして、長岡赤飯。蓋をあけると、器いっぱいに盛られた温かい長岡赤飯が、ふわりと醤油のかおりを届けてくれました。江口さんの長岡赤飯は、金時豆ともち米「こがね餅」、醤油、酒、みりんが使われているそうです。長岡赤飯には、白ごまがかかっています。

蒸かしたてのお赤飯は、もち米がプリッとして金時豆がふっくら‥‥

「蒸かしたては、おいしいですよ」、社長のお言葉が脳裏によみがえってきます。金時豆が醤油味のおこわに程よく混じり、ほくっと、良いアクセントになっています。

長岡の人たちは何世代も、こんなふうにお赤飯をつないできたのですね。よかった、本場の長岡赤飯を味わうことができて‥‥

具沢山の郷土食「のっぺ」汁、白和え、浅漬け、だんご屋プリン、おかげさまでしみじみと味わうことができました。

長岡独自のお赤飯

長岡の赤飯は全国でも珍しいお醤油味です。一説では、昔ささげ(赤飯の中に入っている豆)が貴重で手に入りにくかったため、長岡の人達はその渋汁で着色ができずにお醤油で色付けしたのが始まりと言われています。

江口だんご 長岡赤飯の掛け紙より

 

食事のあと、帰りのバスの時間まで少しの間、江口社長とお話することができました。

「敵に塩を送る」の語源、岩手のお赤飯のこと、赤飯啓蒙文化協会のこと、‥‥そして、薮光生 先生のこと! 江口社長は「薮先生はダンディな方です」と。

 

いつかまた、もっと時間をかけて江口だんご本店を見てみたい。菓子作り体験などにも参加してみたい。江口社長ともっとお話がしてみたい。‥‥店内に流れていた生演奏のピアノの音色が、いまも耳奥に残っています。

 

江口だんご本店 新潟県長岡市宮本東方町52-1

9:00〜18:00  定休日は元旦のみ

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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