虎豆ぶた汁と小豆の中華粥
あぁ、勘違い‥‥
5月某日、帰郷。母と台所に立ち、二人それぞれ思い思いの料理を作りました。私は母に食べてもらいたくて、あずきの中華粥と、虎豆を使った豚汁を作ろうと思い立ちました。
豆はそれぞれ別茹でにして、あずき(能登大納言)は炊飯器でお粥に。こちらは豆が少し煮崩れるくらいやわらかくて、問題なくOK。しかし、虎豆のぶた汁は‥‥
豆の皮がかたくて食べられないと言うのです。まず、豆が固茹でだったのがNGでした。豆の皮は、歯が不自由で食べられないと‥‥
母の作る料理は、柔らかすぎるフキ、煮崩れた厚揚げが入る味噌汁、どろどろの肉じゃが‥‥ 私には苦手な食感でした。
互いに、相手のことを思いながら、しかし、自分のイメージにある「おいしい」を作っていたのです。今回明白になった二人の「おいしい」基準の違いは「歯」です。私は野菜も豆も、おおかた食感が残るレアな食べ物が好みで、母は小さく切って柔らかく煮たものが歯に都合良いのです。
老人食と介護食
年齢差を考えると、そうなのです。しかし、「おいしい」の基準が独りよがりでした。あぁ‥‥ お母さんは入れ歯なのだから、入れ歯ではない私には想像できない食べにくさがあるのです。
なんだかショックでした。人様に食べていただく料理をつくるとき、「自分のおいしいと、自分以外の人のおいしいは別モノ」と意識して、相手のことをもっと深く考えないと。
「虎豆は自分にとって特別な豆だから、お母さんにも食べてもらいたい」は自分の好みを押し付けることでしかなく、
「お母さんは柔らかいのが食べやすいから、小豆のお粥がいいかもね。せっかくだから、よしこさんが送ってくださった能登大言を使おう」はOK。
あぁ、気をつけよう‥‥
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