豆は「しあわせ」のタネである

【北海道 瑠辺蘂(るべしべ)】開拓百年の碑文に思う

豆は、開拓の最初に植えられた植物です

豆を好きな理由の一つに「豆は、たくましいから」というのがあります。

北海道の開拓時代、東北や北陸・四国など日本各地から移って来た人が、ポケットに携えて来たのが「豆」でした。保存のきく豆は、水に戻せば膨らみ、空腹を満たすのに役立ちました。

凍てつく寒さの中、人々はすべての豆を食べてしまうのではなく、春になると豆を土に還しました。豆はタネとして大地に根を張り、稔りをもたらしました。

木の切り株や岩、石ころゴロゴロの開墾地、痩せた土地に、開拓民が最初に植えたのが豆(と蕎麦)。ほかの植物ではマトモに育たない地面でも、豆は稔りをもたらし、根粒菌の働きで窒素を吸収し、土を元気に変えていきます。豆を植えた次の年から、野菜を育てることができるようになりました。

〜 そんな話が、20年近く豆を追い続けて知り得た知識です。私は「豆のたくましさが好き」です。

 

北海道 上川地区を周って見つけたもの

7月上旬、豆取材の仕事で富良野、上富良野、美瑛を旅しました。いつも、仕事で得た情報は、その媒体発行前にほかに漏らさないようにと心がけています。長もの原稿をおよそ書き上げ、この話題は紙幅オーバーとなり割愛したため、ここに残しておきます。

北海道1日目、旭川空港から高速バスで富良野駅に向かう途中の道路右側に瞬間的に見つけました。「開拓百年」の記念碑、バスだから停めてもらって降りて見るわけにもいかず気になっていました。

翌日、美瑛の取材で、瑠辺蘂地区に行きました。絶対、自分では書けない自動変換だから出てくる文字「瑠辺」は「るべしべ」と読みます。「蘂」の字は、草かんむりの下に「心」が3つもあって、木の上に乗っています。調べてみたら、「蘂」は花の真ん中にある「おしべ」「めしべ」を表す漢字だそうで・・・

北海道上川郡美瑛町字瑠辺蘂。「瑠」の字に関して言うと、同じ読み方の「るべしべ/留辺蕊」が北見にもあります。美瑛の瑠辺蘂にお住まいの農家さんは、「『王』が付いてるだけ、こっちのほうが偉いのかな、と思ってる」と笑っておられました。ひらがなで「るべしべ」と入力すると、自動変換で「留辺蕊」と記載されるから、ご用心。天皇陛下の御領地だったから美瑛には「王」の字が付いてるのだそうです。

 

前おき長すぎ‥‥ その「瑠辺蕊」取材の帰り中にも「開拓百年」の碑を見つけたのです。

これも瞬間見つけて、同乗させてくださった方にお願いし、クルマを停めていただきました。気になってると、不思議と目に入るものです。

ルベシベは「山の向こうに超えていく、峠の沢のある“道”」という意味だそうです。

元々は、先住民アイヌの土地だったところに、1912年(明治45年、大正元年)から開拓が始まったと書かれています。北海道開拓は1869年(明治2年)からですが、1912年から始まったこの地の開拓百年は2011年(平成23年)になるのですね。

1400町歩の地を一戸五町歩ずつ、282区画に分けられ、182戸が入植して始まった、と。農家さんにお聞きした話では「畑は5町歩(49586.8㎡)ずつ、田んぼは2.5町歩ずつ分けられた」そうです。畑は、東京ドーム(46755㎡)約1つ分ちょっとの広さが貸与された、とお聞きしました。土地を自分のものとするには、そのあとも試練が続きます。

1軒につき、東京ドーム1つ分の荒地を開墾されて、今があります。丘が連なるあの美瑛の畑は、宮城県を含む各地から来られた方々が開墾されました。

気が遠くなるくらい広大な、美瑛の豆畑を歩いたあとに見つけた碑文は、私の心にズシンと入ってきました。

碑文は「幾多の困難を乗り越え 初心を引き継ぎ豊かな大地と 美しき丘を築き上げた 先人への感謝の思いと 幾世代にも稔り豊かで 平和なふるさとであることの願いを この碑に入魂する」と結ばれていました。

遠くに望む美瑛の農地は、耕すのに苦労がたえません。農家さんは「一度でいいから、真っ平な畑で作業してみたい」と言われていました。

▲ 写真の黄土色は、収穫前の秋小麦。手前の緑色はビート(甜菜)です。

 

この地域では大豆(祝黒・ユキホマレ・小粒のユキシズカ)、小豆(しゅまり・キタロマン・えりもしょうず・キタノオトメ)、大納言、赤えんどうなどが栽培されています。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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