兵庫県神崎郡神河産「丹波大納言」
いただきものの丹波大納言
大納言とは、小豆の仲間でサイズが大きなもの、長辺が5.5ミリ以上あるものを「大納言」と呼びます。
大納言にもいろいろありまして、北海道産の「アカネダイナゴン」や「とよみ大納言」、兵庫県の「丹波大納言」「春日大納言」、京都丹波の「馬路大納言」、岡山県産「備中大納言」、ほかに「青森大納言」なども使わせていただいた記憶があります。
この丹波大納言は、兵庫県の神河産大納言です。
2Lは大きい!
計ってみると、長辺が7〜8ミリあります。こんな大きな豆、作るの大変です。粒を揃えるために、小さいのははじかれ、キズもの、虫喰いもはじかれて残った上物です。
豆の産年と産地、粒の大きさを揃えることが煮えムラにしないポイント。色が極端に黒いものも火が通りにくかったりします。
藪光男先生の「餡は和菓子の命」を参考に
豆類時報の32号に、全国和菓子協会 藪光生(やぶみつお)専務理事が「“餡”は和菓子の命である」のタイトルで餡づくりについて書かれています。
これまでいくつもの作り方で、あんこを作ってきましたが、藪先生の作り方を読んで大いに学ぶところがあり、その手順で作ってみました。
(原料の選定)
・煮えむらが生じない小豆を選ぶには、豆の老化(産年と保管状態が関係)の状況、小豆の粒型と色を揃えることが大切。産地の選定と統一、品種の選定と統一が必要。産地と品種により吸水速度、風味、色合いが微妙に異なってくる
・煮え過ぎも、煮え不足も、“餡”の舌ざわりや風味に大きな影響を与える
(浸漬)
・当年産であれば、私は浸漬をせず直炊きを勧める
・水温も重要な要素で、水温が高いとネトが発生する他、菌の増殖も考慮する必要がある
・一定時間を超えると小豆はほとんど吸水しなくなってしまう
・クラスターの少ない水が適していると考えられる
・浸漬の場合に添加剤を用いることは特に注意が必要である
(加熱)
・圧力釜を用いると、煮え過ぎ(餡粒子の破壊されたもの)が混在する可能性が大きくなるし、圧力がかかる温度によっては風味は著しく失われる
・釜の深さと直径の関係と熱源の種類はかなりの風味の差をもたらす
(渋切)
・小豆の表面部分には、タンニンやサポニンなどの成分が多量に含まれている
・サポニンそのものに毒性があるものと言われていたように、少量ならば血液をサラサラにすることや咳をしずめる効果があるが、多量の摂取は身体に害を与える
・苦味や渋味を取り除くのが渋切である。問題は、いつ「渋」を捨てるかというタイミングと渋切の回数、方法になる
・小豆の吸水孔から内部に入り込んだ「渋」が、そのまま残存して“餡”の味に影響を与えてしまうことがある
(再加熱/煮熟)
・渋切で「渋」を捨てた後に、新たな水をかぶる程度入れて、再度加熱する。沸騰すると、ここで加水を行う。通称「びっくり水」、別にシワのばし水とも言う
・温度を下げる(約50~55℃位)ための「びっくり水」であるから、かなりの量の加水が必要となる
(製餡)
・固めの煮え不足の小豆のゴは混入しない(手に当たるような豆を無理につぶさない)
・製餡機を利用した場合は当然ながら、煮え不足の豆のゴも混入するし、歩留まりを上げようとすると皮の内側の組織も混入することになる
*原文はコチラからダウンロードして読むことができます。
和菓子屋さんに分けていただいた大納言で、あんこを作りました。
あんトーストやヨーグルトに添える粒のこしのあんこ、まだまだ、加減と塩梅が今ひとつ。使う砂糖の種類によっても粘りや甘みが変わります。
あんこ、奥が深い‥‥
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