豆は「しあわせ」のタネである

【岩手県九戸市】桂川祥子さんの「豆すっとぎ」

岩手県 食の匠 桂川祥子さん

岩手県には「食の匠」と呼ばれる郷土料理のスペシャリストさんがおられます。4月にご縁をいただいた桂川祥子さんも、そのお一人。

岩手県の青森県寄りにある「九戸(くのへ)」をお訪ねし、桂川さんに「豆すっとぎ」と「麦じょうす」を作っていただきました。

「豆すっとぎ」は「豆しとぎ」とも呼ばれる、豆を使った甘味です。使う豆は大豆。青大豆と黒大豆を使われていました。

仕事の取材で伺いましたので、メディアに載るまではレシピを後悔するのは伏せておきます。材料は大豆・米粉・もちきび・砂糖・塩。添加物が入らないし、主原料が豆だから要冷蔵で日持ちしません。

そのせいか、同じ岩手県内でも「豆すっとぎ」を知らない人もおられました。

食べた感想は、素朴でやさしい味わい。大豆の味がして、きな粉のような甘さも感じました。おいしいのです。

持ち帰って、京都や大阪の知人たちにも食べていただきましたところ、皆さんにも好評でした。

 

食材のこと

今回の豆すっとぎ作成にあたり、桂川さんから「手持ちの豆では足りない」とのお返事をいただき、こちらで青大豆を手配しました。

「青大豆は、秘伝豆でいいですか?」私

「秘伝豆では色が出ません」桂川さん

「では、あおばた豆でいいですか?」私

「いつもは青豆を使っています」桂川さん

「すみません、青豆というのは青大豆のことですよね? あおばた豆も色が濃い緑色の豆です。黒目です。それで良いでしょうか?」私

というようなやり取りを経て、お届けしたのは「山形県産 あおばた豆」。

桂川さんの台所にお伺いした日、言われたのは「この豆(あおばた豆)は味が薄い」と。

出張前は「青豆」を知らなかったから、色が濃く出るように「あおばた豆」を用意したけど、青豆はあおばた豆より濃厚な旨みがあるのですね。

出来上がった桂川さんの緑色の豆すっとぎは、若い緑色がキレイで、青大豆特有の若々しい豆くさい味がしました。充分おいしかったのですが、青豆だったらもっと豆味が濃厚にしたんだな、と思いました。

ちなみに桂川さん所有の黒大豆(光黒?)で作ってくださっていた豆すっとぎのほうが、大豆味が強くてしっとりしたなめらかな口あたりでした。

どちらも豆の個性が味わえて、私は好きでした。

 

「豆すっとぎ」と「豆銀糖」

岩手に行く前から「豆すっとぎ」を調べ、探していたら、1箇所だけ売られているのを見かけました。

イオンモール盛岡内にある『もりおかん』の保冷スペースにありました。

150g入り 645円(税込)/製造者:岩手県山田町 荒川農産物加工組合

冷蔵保存でしたし、最初に食べるのは桂川さん作のものと思っていたから、今回は購入には至りませんでした。また機会があれば、桂川さん以外の豆すっとぎも食べてみたいと思います。

そして、もう一つ。

「豆銀糖(まめぎんとう)って、豆すっとぎの湿度違いだと思うから試してみて」と、岩手県人の友人Kさんにお聞きしていました。盛岡駅の売場も教わっていて・・・

盛岡駅で探し回り、2軒のお店で買い求めたのがこちら。

彼女曰く「豆すっとぎが大豆菓子の生タイプなら、それをドライにしたのが豆銀糖みたいなものかな。好みが分かれるだろうけど、豆銀糖は昔からあるお菓子で、豆すっとぎより知ってる人は多いと思う」と。

1つ100円前後。開けたら一瞬です。やわらか・きな粉飴 みたいな和菓子に感じました。うん。これはこれで、豆っぽくおいしい。2〜3日は日持ちするし、常温で持ち運べるし、良いかも・・・

豆すっとぎも、豆銀糖も、後味が「すはま」と似てるなと思います。機会があれば皆さまも、どうぞご賞味ください。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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