豆は「しあわせ」のタネである

【北海道 上士幌町】小林先生に豆の選別を習う

パンダ豆の選別

上士幌町に来ています。豆選り小屋で、パンダ豆の選別を経験させていただきました。

パンダ豆はインゲン豆の仲間。白い豆ツブに黒い模様、白×黒から「パンダ豆」、別名「シャチ豆」とも呼ばれます。

豆の選別は、

 

まで書いて、疲労困憊して寝てしまい、すでに帰路に着きました。貴重な体験です。忘れないうちに記録しておこうと思います。

 

農家さんが栽培した豆は、一般的にはJAさんや雑穀商に出荷して、そこで機械選別されることが多く、手選り(てより)選別されることは稀です。

道の駅などで、農家さんが販売される豆はざっくりとした選別により売り場に並びますから、買って使おうとしたら大きさが不揃いだったり、土ぼこりが付いていたりするものもあります。

村上農場の場合、農場スタッフが手より選別した豆(あずき除く)を販売されています。しかも豆をパッケージする前に、タオルで作った袋を使って少量ずつ手作業で磨くのです。

今回、私は目視による手選別を経験させていただきました。

[小林 凌季(りょうき)先生のNG基準]

・粒が小さい豆

・茶色みがかった豆

・シワのある豆(爪にかかったらアウト)

・形の悪い豆

・皮切れした(やぶけた)豆

などはポイポイ外されます。良品は太ももの上に置いたザルに入れ、基準外品は小さなボウルに分けていきます。

なぜ、良品だけザルに入れて再チェックするか?

それは、豆の莢クズや土ぼこりが落ちるように。

私が「これはどうだろう?」と保留にしておいた豆の8割、9割は外品ボウルに入れられました。「え、こんなに落としたら、売り物が半分になるやろう?」と心配になったくらい。

自然界の中で育つ豆は、同じサヤの中で大きいの小さいの混じって育ったものが収穫されます。だから、大きさが揃わないのは当然のこと。仕方ないのに・・・ と思うけど、使う側の立場になってみると、粒が揃わない豆は煮えムラの原因となってしまいます。

両方のことがわかるから、「外す」と判断された豆はおとなしく外品としました。

また、収穫するとき地面に近い下のほうに生えていたサヤは良く成長し、上のほうに遅く育ったサヤは若くて生ザヤだったりするため、畑で乾燥させる際に違いが出るそうです。未成熟なサヤは変色(茶色み)の原因になると教わりました。

このような厳しい基準と小さな工夫の積み重ねが、消費者の手元に届いたときの粒ぞろいな美しい豆となっているのだと再認識しました。

 

自家種と採種

種苗法うんぬんでずっと気になっていたことを習いました。

Q:自家採取した豆をタネとして使ったら、販売できないのですか?

→ 消費者に製品(豆)として販売することは問題ありません。

→ 自家採取した豆をタネとして販売することはできません。タネを販売できるのは農業試験場やタネ農家さんで、タネ用に栽培された豆でなければなりません。

 

試験場で育てた豆のタネを「採種(さいしゅ)」といいます。採種のもとは原種(げんしゅ)、そのもとは「原々種(げんげんしゅ)」。

村上農場でも小豆・音更大袖振大豆・大正金時・福白金時・祝黒は採種を買って植えています。

原種は畑に蒔いて発芽〜生育していく際に、病気の害を持つ性質のあるタネを除いたもので、食用の豆は人体に害がない病気であれば省かれないとのこと。原種のほうが食用より厳しい基準をクリアせねばなりません。

そんなことも知らず、何も気にせずに食用に買った豆を興味本位でベランダ栽培に使っていました。買うタネは優秀なエリートなのです。

なんやかんやと、興味のあることを続け様に質問するから、私といると小林先生は仕事にならない・・・ と気にするも、先生は私の質問に答えながら手を止めません。選別する能力と質問の答えを一度に瞬時に判断する小林先生は、とてもクリアな頭脳の持ち主なのだと思います。

商品を袋詰めする前にコロコロを使って衣類を清浄にし、手指消毒してから豆にさわる様子を見ていたら、300gの豆をより愛おしく感じました。

〈つづく〉

 

後ろから手前に、横山先輩・吉川先輩・小林先生・村上農場長

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

豆行事や催しなど

2024年 4月
« 3月   5月 »
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30      

Plofile

豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
Instagram

バックナンバー