豆は「しあわせ」のタネである

充填とうふのこと

3パック100円?

毎日新聞に、月に1回、とうふ屋さんの連載を書かせていただいています。取材を通じて、とうふの話を聞く機会が増えました。

おかげさまでちょっとずつ、とうふや揚げについての知識が増えています。充填とうふについて知ったことを書いておきたいと思います。

かつて、私は「充填とうふ」は、今イチと思っていました。スーパーの特売で3パック100円とか、98円とか、驚くような価格で売られているのを見ると、一体どうやったらそんな値段で出せるの? と思っていました。店頭に100円で並ぶには、ほとんど水を運んでいるような重さの、しかもクール配送しかできないとうふで、どうやって利益を出せるのだろう? と思っていました。

安価な輸入大豆を使うとしても、包装資材や工場設備、人件費を払って利益が出せるのだろうか? と思っていました。会社が存続するためには企業努力に加え、材料原価を落とせるだけ落として作るのだろうなと思っていました。充填とうふは工場生産で、手づくりのとうふは町のとうふ屋さんが作るとうふ、と思い込んでいました。

 

とうふ、揚げ道楽

とうふ屋さんの取材をするようになって、私は「とうふと揚げ道楽」になりました。「人が手で作ったものは、どうしてこんなにおいしいの?」と思いながら、とうふ職人さんの顔を思い浮かべ、おいしく食べていました。1丁350gとか400gとかのとうふが、パック入りで200円〜400円くらいで売られていても、平気で買うようになりました。

1丁400円のとうふ‥‥ 毎日、肉を食べると思ったら、ちっとも高くありません。ケーキやチョコレートと思えば、おなかはいっぱいになるし、ヘルシーだし‥‥ とうふ屋さん取材を始めてしばらく、充填とうふを買わなくなりました。

充填とうふは今イチな気がしていたのです。

 

素人の勘違い

市販の「安価な充填とうふ」の多くは、豆乳を薄めて固めているそうです。充填とうふは、濃度が薄くても固まるそうです。

しかし、充填とうふにも国産大豆を使って、カットとうふ(多くの場合、手づくり。大きく作ってカットして販売するとうふ)と同じ濃度で、充填とうふを作るとうふ屋さんもありました。

充填とうふについて、最初に「え?」と思ったのは、大原野の「上田とうふ」さんを取材した時でした。工場併設の直売所で、気になるとうふをたくさん買いました。その中に、充填とうふが幾つかありました。全国豆腐品評会で「農林水産食料産業局長賞 金賞」をとった「京・白丹波大豆」の絹こしとうふや、とうふ品評会で京都市長賞に選ばれた「上田の絹こし」など、粒子が細かくてとてもクリーミィなとうふと思いながら味わいました。

山科区椥辻の「京とうふ かわむら」さんで買った愛らしいパッケージの「充填 絹」とうふは、全国豆腐品評会で銀賞をとったとうふとシールに書いてありました。こちらもクリーミィなとうふで、豆の旨み=甘みのようなものを強く感じました。120g入りの充填とうふは200円でした。

何を言いたいかと言うと、良い材料で作っているとうふは、充填とうふであろうと真っ当な価格が付いています。そして、人の手が直接ふれることがないから、菌数を抑えることができ、消費期限を長くできるメリットがあります。かわむらさんの充填とうふは5月3日に買って、5月14日期限でした。一緒に買ったカットとうふの「京もめん」は5月7日期限でした。

日持ちがする充填とうふは、食品スーパーにとっても消費者にとっても、扱いやすいとうふです。買った1週間後でも、安心して食べられるのですから。

「充填とうふは、おいしくない」の誤解を解きたいと、京とうふ 藤野の小笠原工場長と藤野専務が言われていました。国産の厳選した大豆を使い、人の手がふれないから衛生的で日持ちがする充填とうふ。

これまでの思い込みで凝り固まった頭を、やわらかくせねばと思います。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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