豆は「しあわせ」のタネである

嵯峨豆腐 森嘉「擬製豆腐」を味わう

森嘉さんの店頭で

嵯峨野にある人気のお豆腐屋さん、森嘉(もりか)さん。日曜昼過ぎに行ってみると、店の前に数組のお客さんが並んでいました。順番を待つこと、5分、10分。自分の番がやって来てワクワクしながら注文したのは、テイクアウト&即イートの御品2種。

森嘉さんでは、飛龍頭(ひろうす)と油あげを店の前に設置された縁台に腰掛けて食べられるようになっています。飛龍頭には小袋の塩、油あげにはミニ容器入りの醤油が付いてきます。

どちらも一つ205円+税でした。

森嘉さんの飛龍頭は、ほくほくの百合根がたっぷり入っています。銀杏の周りを包むように、まるで蓮の花のように入っています。塩をシャシャッとかけてガブリとかぶりつき、中をのぞいて「あ〜、おいしい!」

店先に設置された4つの縁台に、それぞれ気ままに陣取って、飛龍頭油あげを満喫。焦げるような晴天の秋空の下、皆、しあわせそうに頬張っている様子につられて、次から次に客足は絶えません。

 

嵯峨豆腐800g

お昼どき勢いがついて、私たちは「嵯峨豆腐」も購入し、その場で開封して食べ始めました。けっこう大きくて、容量を見たら800gと記載されています。通常のとうふの約2丁分。

森嘉さんのお豆腐、買ってすぐを冷や奴で食べないように(?)、封がしっかりされています。なかなか開けにくいのを無理に開けて、「食べたいけど、食べきれるかな?」と言いながらも、持参したスプーンで食べ始めました。けっこうなボリュームです。

ふふふ。おいしい。しかしながら、おそらくこのお豆腐は、湯どうふにして食べる豆腐なのだろうなと思いました。錦市場の近喜さんや、上田とうふの上田専務ほか、何人かのお豆腐屋さんと話した経緯で、なんとなくそういうニュアンスが察知できるようになったのは、とうふ屋さん取材を重ねている成果かもしれません。

 

念願の擬製豆腐

擬製豆腐(ぎせどうふ)と読みます。2回並んだあとに、再度並んで3回目に持ち帰り用を買いました。その存在を耳にして、いつかどこかで食べてみたいと思っていた擬製豆腐を森嘉さんでは販売しておられます。

約12cm角×高さ3cm、ずっしり重い擬製豆腐。森嘉さんのホームページ説明によると、

古くは豆腐百珍という書籍にも紹介されていたものですが、地方によりその味付けは様々あるようです。弊店では、お豆腐のお菓子として仕上げました。練り上げた生地に芥子の実をあしらい、銅製の鍋で備長炭を使い焼き上げています。

そのまま切り分けて、お召し上がり下さい。

とのこと。「豆腐百珍」とは天明2年(1782年)に出版された100種類の豆腐料理が載る料理本、書名は何度か耳にしながら、まだ目にしたことはありません。豆腐百珍に載ってるのですね!

擬製豆腐、おいしかったです。しっかり目が詰まってて、ちょい固め。甘い玉子焼きをもっときめ細かくしたような、甘い蒲鉾のような、お正月のお節に似合いそうな‥‥ やさしい甘さ、上下にいいあんばいの焼き色が付いて、上部分に芥子の実がふられています。

森嘉さんの擬製豆腐は、ちょっと贅沢な「豆腐おやつ」といった感じでしょうか。大勢で切り分けて、ちょっとずつ味わうのが良さそうです。

加えて、卵アレルギーを持つ人の「代替 たまご焼き」にもできそうですね。

いつか食べてみたいと思っていた擬製豆腐、念願が叶ってうれしいです。豆と豆料理の探検家は日々、いろんな食べ物を「勉強、勉強〜♪」と言いながら、おいしく味わっております。(^^)

 

嵯峨豆腐 森嘉 京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町42
TEL 075-872-3955 8:00〜18:00 水曜定休、時々火曜も休み

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コメント

    • 長谷川 嘉典
    • 2018年 10月 29日

    こんばんは。「擬製豆腐」という豆腐料理の存在。まったく知りませんでした。お豆腐のお菓子とは。これは是非食べてみたい。そして「豆腐百珍」という文献。下鴨古本祭りで発見できるのだろうか。前回の返信で東山魁夷の絵「年暮る」が京都の冬のイメージと。私もそう思います。東山魁夷展最終日に行きました。この絵に魅了されしばらく立ち続けたような気がします。「藤田嗣治展」にも行ってみようと思います。

      • Nodoka
      • 2018年 10月 30日

      長谷川さん、こんばんは。
      擬製豆腐は、豆腐屋さん取材のときに何度か耳にしました。初めて食べることができて、よかったです。
      豆腐百珍は、下鴨古本祭りで見つかるかどうか‥‥ 江戸時代の書物ですから、残っていたら博物館モノだと思います。現代語訳した本とか、リメイク本が出てると思います。
      京都の東山魁夷展に出ていた「年暮る」は習作で、本物は今回は出ていなかったようです。いつか原作を見たいです。もっと深いです。藤田嗣治展、行きました。絵はもちろん、彼が作った陶器のワイングラスが好きでした。レプリカがあれば、買いたい〜

  1. 2018年 11月 19日

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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