豆は「しあわせ」のタネである

毎日新聞 連載〈20〉とようけ屋 山本/上京区

人に耳澄ます福禄寿

毎日新聞の夕刊に月に1回「とうふ屋のある町は いい町だ」という連載を書いています。その20回目は「京豆腐一筋 とようけ屋 山本」さんを書かせていただきました。

取材を受けてくださったのは、三代目の山本久仁佳 会長です。会長は82歳、現役で今もとうふ作りをしておられます。取材の日に、大豆を洗うシーンを撮らせていただきました。「凛々しい」と思いました。

 

山本 久仁佳会長のこと

会長のお顔は「福の神」のようです。

ふだんのお顔が笑顔です。いつも人と顔を合わせるとき、会長のお顔は笑顔なのだと思います。仕事をしておられるときは真剣な表情です。顔を上げて人と目が合うと、もう、笑顔です。まるで、瞬間に笑顔に変わるセンサーが付いているようです。

会長は昭和の時代から、様々な新商品を作ってこられました。新聞にはそのエピソードも書きました。

取材を終えて、会長はお豆腐やお豆腐スイーツをたくさん持たせてくださいました。にこにこした表情で、「これを持って行きなさい」と。

 

とようけ屋 山本さんの商品いろいろ

会長にいただいたいろいろと、前後して買ったお豆腐の類いを載せておきます。

豆腐のおいしさも然ることながら、その豆腐に付けられた商品名がユニークだなと思います。一所懸命な物づくりと、遊び心あふれる柔軟なネーミング。そうやって、ファンの心をつかんでいるのだと思います。

▲ 左から、つるり にがり絹ごし豆腐、豆腐の大吟醸かも 朧豆腐 ゆるる寄せ豆腐、豆腐のたれ、厚揚げ、揚げ豆腐

▲ 冷豆菓子 麗豆菓(れいとうか) 

「大豆餡の道明寺饅頭を豆乳ゼリーで包みました」と紹介されています。

大豆餡を包んだ白いさくら餅が、豆乳ゼリーの中に入っている、と言えばわかるでしょうか? それぞれに青梅と、さくら風味のシロップが付いていて、食べる前にかけてからいらだきます。捨てるのをためらうような立派な陶器の器に入っています。記憶に残る個性的な豆腐スイーツです。

 

▲ 左から、厚揚げ、ひろうす、丹波黒豆 朧豆腐 寄せ豆腐、丹波大鶴大豆

おぼろ豆腐って、白いのしか食べたことありませんでした。黒豆のおぼろ豆腐。とようけ屋さんが元祖だったのですね。黒大豆はSサイズや番外では、豆腐にしても味が出ないそうです。丹波のLやLLを豆腐に使うと聞いて、信じられない! と思いました。それって、お正月の黒豆を煮るときに使うような豆です。

 

▲ ええかげんな 充填豆腐 そこそこ豆腐、豆乳ヨーグルト、揚げ豆腐

自分のところの商品に、「ええかげんな」とか「そこそこ」とか、名前を付けられるのを凄いなと思いました。乳脂肪分を入れることで、バター風味を出しているそうです。

確かに、読んで食べると「バターのような風味」に感じました。そう言えば、白餡を作る豆で「バター豆」とあったような‥‥ あれは、輸入物の白いんげんでした。

とようけ屋さんの商品、ユニークなものがいろいろあって、開発時の様子を想像すると楽しくなります。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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