「栖園の相生ぜんざい」に「お椀の中の宇宙」をみる
茶碗の中の宇宙
京都国立近代美術館で開催中の「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展を観に行きました。樂家初代 長次郎さんの茶碗から、十五代 樂吉左衛門さんの茶碗、ご子息・篤人さんの茶碗まで、たくさんの展示を時間をかけて鑑賞させていただきました。
そのことは、豆なブログ以外の媒体に書くことにして‥‥
「茶碗の中の宇宙とは、〜その茶碗によって引き起こされる無限の世界、正しく宇宙のように果てしなく広い有機的空間のことと捉えています〜」と、十五代 樂吉左衛門さんの言葉が記されていました。
(1Fに展示されているレプリカ、誰でもさわることができ、撮影もOK)
お椀の中の宇宙
樂家の展示を愛でたあとに、1月の琥珀流しを食べようと思い、六角の「大極殿栖園」に寄り道しました。
2人で2品、琥珀流しと「相生ぜんざい」を注文し、運ばれてきたぜんざいの蓋をとったら‥‥
白小豆と大納言のぜんざいにヨモギのお餅が3つ。
白とあずき色と草色の3色を、透明な蜜がつないでいます。決して煮くずれることなく、しかし、ほろほろと口の中でほどける豆の絶妙な茹で加減。
皮が口に邪魔することもなく、薄くうすく豆のデンプン質をおおっている‥‥
樂さんは、茶碗に宇宙をみたけど、
私はこの一椀に宇宙をみた気がします。
茶碗のことは深いところまでわかりません。豆のことは、このぜんざいが、つくづくプロの仕事だとわかります。
どう煮たら、このような上物に成るのかイメージできても、今の私には届きません。
よけいな足し算のない味。白い砂糖がとけた透明な蜜は、食べ進めるうちに白小豆と大納言をほぐし、にごりをかもす。甘い甘い透明は、薄いにごりをいただいて、甘さがやわらぐ。
あぁ、お椀の中の宇宙。
おいしかった。ご馳走さまでした。
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