豆は「しあわせ」のタネである

青森大納言を使って

いただきものの青森大納言

こちらは、乾燥状態の青森大納言(左)と、それを茹でた状態(右)の写真です。青森大納言を使うのは、初めてでした。乾燥状態での長いほうの直径を計ってみると、7〜8ミリ程度あります。

大納言とは小豆の仲間で、直径5.5ミリの丸めふるいを通過するものを国の基準とされています。それを通過するものは未熟粒として規格から省かれます。この基準は、産地によって更に厳しい独自基準をもうけられているところもあるようです。ちなみに小豆は4.2ミリが基準だそうです。(2020.5.27 農林水産省に電話して、穀物課 萱野さまに教わりました)

十勝農業試験場サイトにも、大納言の規格寸法は5.5ミリと載っていました。

 

今回の青森大納言は、大極殿本舗取材の際に工場長さんからいただいた中のひとつ。お店では「花背」という和菓子に使われているとのことでした。

写真の真ん中のお菓子が「花背」です。花背は、やわらかな粒餡がたっぷり入った手作り感のある民芸菓子。あんこには青森大納言と砂糖、隠し味に醤油が使われています。

あの餡、しっとりした生地にコクと深みを持たせるふくよかなお味です。

 

自作のあんこ

餡をつくるときは、小豆や大納言と水、砂糖、好みで塩を使います。豆が変わると餡の風味が変わり、砂糖が変わると甘さの感覚がこってりだったり、すっきりだったり、やわらかだったりと変わります。

火を止めるときの水分の残し具合で餡の状態が変わり、加熱時間や温度調節のタイミングで、餡の食感や風味が変わります。

最近は、何に使うかも考えて、あんこの仕上げ状態を変えるようにしています。だけど、思う通りに仕上げるには、まだ技術が至りません。

今回の青森大納言は、朝のヨーグルトに合わせるあんこをイメージしました。豆の粒感を残しながらも、半分くらい煮くずれたコクのあるあんこ。砂糖は、てんさい糖(ビフィズス菌を増やす働きのあるオリゴ糖を含む)を使いました。

小豆のデンプンがビフィズス菌や乳酸菌と反応すると、カラダに良い働きをする腸内細菌の量が増えるそうです。これは、ネズミ実験で証明されたことで、昨秋、帯広大学の福島道広教授のご講演でお聴きしました。

人間においても小豆や、いんげん系の豆の発酵特性は腸内環境改善効果が期待できるというようなお話でした。

小豆とヨーグルトの組み合せは、健康面でおすすめです。よって、私も頻繁にこの組み合せでいただくのですが‥‥ 肝心のあんこは今ひとつな出来映え。初めて使う豆は、加熱のあんばいが今ひとつでした。

もしかすると、機械選別を通らない手選別の豆だったかもしれません。豆の茹で時間に差がみられ、仕上がりに粒感の強いものが残るなど、ムラが出てしまいました。

こんなこと、和菓子の職人さんだったら全く問題なく、どうにでも上手く炊き上げられます。毎朝の餡ヨーグルトを味わいながら、職人さんへの想いを深くした次第です。

あん焚き10年と云いますが、‥‥おいしいあんこへの道のりは、まだまだ遠いです。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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