豆は「しあわせ」のタネである

減塩みその天地返しをしました(^^)

2016.02.25

3件

昨年11月の味噌仕込みから3ヵ月‥‥

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昨年の秋に仕込んだ味噌が、そろそろ3ヵ月経過しました。

北海道産「つるのこ」大豆と、山形県産「紅大豆」を使って仕込んだ味噌は‥‥

 

「カビも生えず、いい感じです(^^)」・・・はるちゃん

「おばあちゃんにも美味しそうと言ってもらえ、今から仕上がりが楽しみです」と、天地返し報告をいただきました。

「良かった、初めての味噌仕込みでカビが生えることもなく、順調に熟成が進んでいるんだ」と思いながら、自分で実験的に取り組んだ「減塩みそ」の様子を見てみると‥‥

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ホントだ! カビも生えず、いい感じ! うわぁ〜、まるでもう、味噌みたいな表情です。

さすが豆の王国・北海道の大豆ですね〜♪

ちなみに、普通は

大豆:こうじ:塩=2:2:1 の分量比で仕込むところを、減塩みそでは

大豆:こうじ:塩=2:3:2/3  の分量比で試し中です。

 

塩を減らすから、麹を増やし、塩が減る分カビやすくなるように思ったのですが、カビ0!

おそらくこれまで7年、8年、みその仕込みをしてきた中で、こんなにキレイな状態で熟成が進んでいるのは初めてです。おなじ大豆を使った はるちゃんもカビていないと言うから、塩の量ではなく、大豆が優秀なのかも???

 

味噌づくりをするときの「天地返し」とは?

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写真提供:はるちゃん。味噌の容器ごと、天地返し中

「天地返し」とは、味噌の仕込みをして熟成させる途中段階で、密封容器ごと上下を逆さまにして1〜2時間放置し、発酵する際に発生するガスを抜くための作業です。

天地返しの際に、味噌の上部に発生したカビも取り除きます。カビが生えた周辺ごと捨てて、容器内をアルコール消毒し、ラップ材を替えて再度密封します。そこからまた3ヵ月ほど寝かせて味噌の完成。

天地返しは、味噌の育ち具合を確認する良いタイミングでもあります。

家庭で一度に仕込む量は、大豆1kgとか2kgとか、せいぜいそれくらいの量かと思います。保存容器も、4リットル、5リットルくらいの容器で落ち着くくらい‥‥ すると、天地返しは容器ごと上下をひっくり返して、さほど難儀することはありません。

 

みその熟成中、天地返しは必要なのでしょうか?

はじめて味噌の仕込みをしたのは、2008年12月のこと。味噌を仕込み、3ヵ月後に天地返し。あれから7年、私はずっと「天地返しは味噌づくりに欠かせない作業」と認識しておりました。

ふだん自分で味噌を仕込むときは、800gの大豆、800gのこうじ、400gの塩を使い、4リットル容器や、2リットル容器×2つを熟成用に使っていました。

しかし、大きな樽や味噌容器に仕込まれる方は、一度に10kgとか20kgとか、50kgとか100kgとか仕込みをされています。

そうすると、容器の上下を逆さまにするのは容易ではありません(ラーメン屋さんが使っているスープを抜くときの大きな寸胴の回転釜のような設備があるとラクにできるかもしれません)。

だから、味噌の天地返しをしない場合もあるそうです。そんな話を聞くと、「そうだよね〜」と納得します。長く味噌づくりを続けておられる材料供給元さんは、

「僕は50年味噌を作り続けてきたけど、いままで一度も天地返しをしたことがありません。だけど、毎年おいしい味噌ができます」とおっしゃっておられました。

また別の、味噌の専門家さんは、天地返しをするときは味噌表面のカビを取り除き、中の味噌をかき混ぜるそうです。

 

麹菌が大豆と反応して、発酵が進むと味噌になる。

しかし、茹でた豆はいたみやすいから、清潔な容器を使って消毒もしっかりしないと‥‥。

天地返しは麹菌を新しい空気とふれさせて発酵がしやすくするために必要なことだけど、梅雨時や夏場は雑菌が入りやすいので要注意。天地返しをしてかき混ぜたがために、中までカビだらけの味噌になったら、たまりません。

 

こうして調べてみると、味噌づくりの方法、天地返しの根拠やノウハウも様々です。

 

一度に仕込む量も、私のように小規模ではなく、味噌づくりのツワモノは10kgを最低単位として仕込まれるそうです。しかし、私のように1〜2人分のみそ汁しか作らない者には、みそ10kgは莫大な量です。それを2種類、3種類、作りたいと思うと‥‥

豆専用の冷蔵庫が欲しいと思っているけど、それとは別に味噌専用の冷蔵庫も必要になるかもしれません。

 

天地返しの必要性・・・結論

必要性についての結論は、いまのところ私にはわかりません。ただ、天地返しをしても、しなくても味噌はできます

味わい、風味、など専門的なおいしさを追求すると、究極のノウハウがあるはずです。そのあたりは、味噌づくりのプロフェッショナルにお任せするのが良策かと思います。味噌もチョコレートみたいに、天井知らずの高価な味噌が存在するように思います。

 

 

現代の日本人の暮らしの中で、味噌もまた赤飯と同じくらい「店で買うもの」という意識が浸透しています。しかし、味噌はおそらく昭和の中頃までは、たいていの家ごとに自分の家で使う1年分の味噌を、年に1回仕込んでおられたと思います。私の実家でも祖母の代からの赤みそが残っていたり、母が小屋の甕からお玉で小分けして出してきたりしていたような‥‥

各家庭で仕込んでいたということは‥‥ 往々にしてテキトーだったはずです。いい加減、八女弁で言うところの「よ〜ら」です。茹でた大豆をつぶして、麹と塩と合わせて放っといたら味噌になってる‥‥みたいな、ざ〜っとした作り方だったのではないかと推測します。

そもそも、その大豆すら「畦豆(あぜまめ)」として田んぼのあぜ道を強くするために、自分たちでついでに植えておいた豆を使っていたのだろうと思います。戦後、と言われる昭和の頃くらいまでは‥‥

 

味噌の材料屋さんは「僕は50年味噌を作り続けてきたけど‥‥」と論じておられましたが、私は50年も生きてないから、50年以上昔のことを語ることができません。

 

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ただ、自分で仕込んだ大豆のだんご(みそ玉)が、半年も待って味噌になったら、うれしいですよ。しかも、自分の手仕事と時間がかかっている分、2割増、3割増においしく感じます。

いまどきの言い方をすると「醸造アルコール不使用」「保存料ゼロ」、しかも、現在の試作品は「減塩」タイプの味噌です。

 

減塩タイプを天地返ししたら、表面がぶわぶわ浮いてる感じがして、「あぁ、ちゃんと発酵してガスがたまっていたんだな〜」と思いました。

表面をなだらかにならして、ラップを張り替え、塩を4隅+4辺において‥‥ と、いつもの作業をしながら、天地返しの結論は

味噌の育ち具合を確認する良いタイミング なのだと思いました。

 

みそ作りを生業とされている専門家さんに訊くと、違うことをおっしゃるかもしれません。どこか、みそ製造元さんを取材しに行きたい。想像や回想ではなく、真実を知りたい。みそ作りの現場を探検しに行きたいです。  to be continued

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コメント

    • 林 寿美
    • 2016年 2月 26日

    はじめまして。”国際マメ年”から検索して、たどり着きつきました愛知在住のものです。
    先生の豆愛に驚いて、(一介の主婦なんですが・・)お忙しいのに失礼かなと思いながらも、コメントさせていただきました。
    私も豆(主に大豆)大好きです!!最近、青大豆(岩手緑)に出会い、その甘さに感動しました。愛知はフクユタカの産地ですが、愛知産フクユタカ使用の豆腐や味噌は売っていますが、豆自体はスーパー・JA・ネット等でも見当たらず、一度食べてみたいと探している最中です。

    現在は愛知在住ですが、実家が京都なので、タイミングがあえば、教室にも
    参加させていただけたらと思っています。そのときはよろしくお願い致します。

    • Nodoka
    • 2016年 2月 26日

    林さま 豆なブログにコメントを入れてくださり、ありがとうございます。

    大豆がお好きとのこと。肌色の大豆、青大豆、黒大豆、茶豆、紅大豆など、色々あって楽しいですね。
    青大豆にも何種類もあって、あおばた豆、サトウイラズ、こうじいらず、馬の噛みしめ、音更大袖大豆など知らない豆はぜんぶ試すつもりで使いました。来週は青大豆の仲間・山形県産の秘伝豆を使って、仕事先の方たちと味噌の仕込みをします。

    愛知県産フクユタカ、私も調べてみましたが、ネットではうまくヒットせず、縁ある豆販売店さんなどに問合せ中です。何か情報が入ったら、またお知らせしますね。もしかすると、道の駅などに行かれたら、味噌や豆腐の製造業者さんに納品される量から漏れた乾物豆のフクユタカが販売されているかもしれません。
    福岡、佐賀などの九州産は、知り合いの店でも乾物豆状態で入手するのですが、愛知県産は‥‥ どこかで見つかりますように。

    赤飯教室と味噌の仕込み会は続けていこうと思っていますので、また、機会があればどうぞお越しください。(^^)

    • 林 寿美
    • 2016年 2月 29日

    五木様

    大変お忙しい中、丁寧なコメントくださり、ありがとうございます。

    愛知産フクユタカ、調べてくださったのですか!
    本当に本当に本当にありがとうございますm(__)m嬉しいです。
    やはり乾物豆としてはあまり流通していないのですね。
    道の駅、見落としていました!ぜひ、チェックしてみたいと思います。

    お豆は、本当に奥が深くて楽しいですね!お店で知らない品種に出会うと
    ワクワクします。これから、少しずつ勉強していこうと思います!

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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