豆は「しあわせ」のタネである

【輪島】萩のゆきさんのSDGs

「の菓子」Cafe 萩のゆき さん

石川県輪島市へ、萩のゆき さんを訪ねたことを1本前のブログに書きました。「の菓子トレイル」という催しに参加することと、萩のワールドにふれることとを目的に伺いました。

萩のさんの作る「の菓子」は、自分で育てた小豆を使い、あんこを炊いて、自身の発想で作る菓子でした。素材を大切に、意匠にこだわり、物語りをつむぐ「の菓子」。

あんこの銅鍋は、萩のさんがおばあちゃんになったときも抱えられる重さに、と考えて1升の小豆を炊くのにちょうど良いサイズにしたそうです。珪藻土(けいそうど)の七輪に、菊炭を焼くときの副産物である細い炭で火を起こし、銅鍋をおいて炊くあんこ。

あずきの豆殻や、芝栗の殻は堆肥用のスペースに放り、里山の葉っぱを上からかけて発酵させ、いずれは土に撒いて肥料にするのだとか。

一見すると金持ちの別荘のようなセンスの良い空間で、祖父母の時代にやっていたような菓子作りをされていました。

栗の木を彫った作家ものの器に、栗の葉っぱや紅葉を置いて菓子をのせるコーディネート。窓の向こうに見える樹木と秋景色が、何とも言えず豊かな心もちにしてくれました。

こんなところで暮らしたら、さぞや大らかな発想が浮んできそうだと思いました。実際に萩のさんの作るものには、「能登」「輪島」「里山」が、悠々と顔を覗かせています。

萩のさんは菓子職人であると同時に、デザイナーであり、商品開発や販売促進支援などの仕事もされています。マルチな才能の持ち主です。

 

京菓子「禅 ZEN」入賞作

11/1〜15に京都市上京区の有斐斎 弘道館で開催されていた 手のひらの自然 京菓子「禅 ZEN」デザイン公募展2020 に展示されていた萩のさんの入賞作品(茶席菓子実作部門 入賞、濱崎加奈子賞 受賞)が、輪島の「の菓子 Cafe」にも展示されていました。

弘道館のアンダーな照明の中で見た受賞作。菓銘「一即多、多即一」、萩のさんの入賞作は、ヤブツルアズキ~能登大納言への時空をあらわす和菓子に、敬愛する鈴木大拙さんの言葉が添えられていました。

弘道館で見た菓子と、の菓子 Cafe で見た菓子は、同じ形状をしているのに違う印象を受けました。

アンダーな世界ではヤブツルアズキがたどってきた悠久の時間を感じ、Cafeの明るい光の中では能登大納言がこれからたどるであろう進化、未来への時間を感じました。

残念ながら実食は叶いませんでしたが、受賞菓子の新たな表情を拝むことができました。

 

ごっつぉ草紙

「今伝えたい能登の食べごとの記録」と副題が付いた萩のさん作の冊子を拝見しました。輪島市「三井」の里山にまつわる食を通した自然と文化のつながりをまとめた「生物文化多様性」の絵物語。写真と文字がびっしりと詰まった冊子です。

センターページの見開きに、SDGsの17項目と「ごっつぉプロジェクトとの関連」が記されていました。

2月に私が「豆とSDGs」を考えたように、萩のさんも自分の関わるプロジェクトをSDGsに当てはめて考えたのだと思うと、「私たち、発想の根っこがやっぱり似てる」と思いました。

国連大学サステイナビリティ高等研究所が発行されたこの冊子には、三井の子どもたちと自然、食文化がびっしりと収められています。その枠組みも、おそらく萩のさんががんばって組み立てたのだろうと推察しています。

私が「豆トモ」と思っている萩のさんは、いったい何者??

これから何年もかけて、私は萩のさんを深掘りしていこうと思います。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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