お正月の黒豆 差し上げる方のお歳プラス「1」
黒豆、煮ましたか?
お正月の黒豆、最初の頃は吹きこぼれて焦がしてばかりでした。経験が少ないし、1年に1回しか煮ないし、1年たったら煮方の勘を忘れてしまって、また焦がして・・・
と、そんなことを繰り返してばかりでした。
ある時、気がついたのです。黒豆を煮るとき、ほかのことをしながら火から放れてしまうから焦がすんだと。
ある年から、ヨソ見をしないように高い豆を買うことにしました。丹波篠山の黒豆「飛切」「飛切極上」など、大丸で買ったら当時1,000円/100gくらいの豆を買うようになりました。「お正月の黒豆だけは、節約しなくていい」と自分に許可を出して、思い切って買っていました。
そしたら、焦がさなくなりました。
私の場合、黒豆を上手に煮るコツは「高い豆を買う」ことでした。1鍋焦がしたら、3,000円くらい吹っ飛んでしまうと思ったら、気を抜けなくなりました。
そうやっているうちに、キッチンタイマーを使って20分おきにピピピピピ・・・と鳴らして、気を逸らしても大丈夫になりました。
あの頃からずっと、お正月の黒豆は丹波篠山の黒大豆を使わせていただいています。10月の黒枝豆が12月にまん丸黒豆になって、お正月用に登場するのです。そう思うと、やっぱり丹波に意識が向いています。
3日がかりで仕上げた豆を瓶詰めに
1日目 煮る前日夕方に煮汁に浸して
2日目 午前中から煮始めて、弱火で約3時間ほどコトコトと・・・ 熱いうちは気持ちやわらかめ加減で火を止め、蓋をして常温に冷まします。
3日目 1粒、2粒食べてみて、カタサ加減を確認し、少し硬めかちょうど良いくらいだったら、気持ち再加熱。ここで火を加えないと、黒豆は冷蔵庫に保存するから豆が締まってカタクなってしまうのです。
煮汁が薄くてトロミが少ないときは、豆と煮汁を分けて、煮汁だけ再加熱し、少し冷まして豆を戻します。そうすると「色気のある黒豆」の出来上がり。
常温に冷めたら、瓶詰め作業に取り掛かります。
歳の数、プラス「1」
お正月の黒豆、毎年、何人かに差し上げています。直接手渡し、クール便で送付などなど、どれも差し上げる方のお歳をカウントして瓶詰めにしています。
なぜ?
それは、確か2004年の年末のこと。お正月に食べていただけたらと思って黒豆をお届けした先で・・・
「この豆は何粒入っていますか?」と訊ねられ、「わかりません。数えていません」とお答えすると・・・
「黒豆は正月に食べるから、一つ歳をとる分を含めて歳の数に1粒足してください」と教わりました。
昇地三郎先生、御歳100歳(99歳?)の晦日だったと思います。
黒豆・・・ それからまた煮て、1、2、3と数えてお届けしたような・・・ 先生は既に天に召されておられますが、先生の教えは今も私の中に生きています。
毎年、毎年
黒豆を差し上げる方はおおかた決まってて、実家の母と、太宰府のご夫婦と、Aさん、Bさん、Cさん・・・ 今年は6、7、8人くらいお渡しします。
40代、50代、60代、80代の方々の分を、1、2、3、4、5・・・ と数えて皿に取り分け、豆の皮が破けていたり、変形していたりするのをはずします。
と、その前にガラス瓶と蓋の煮沸消毒。
そして、数え損なっていないかを確認するようにカウントしながら瓶に詰めて、煮汁を加え、しっかり蓋をして出来上がり。
こうして毎年、お母さん◯歳+イチ、Yさんゴジュウ何粒+イチ、K子さんヨンジュウ何粒+1と数えていて気づいたのです。
毎年みんな1つずつ齢を重ねていることを・・・ あぁ、黒豆を数えるということは、相手さんの人生が豊かで健やかでありますようにと祈ることなんだ、と。
15年以上続けてきて、やっとというか、
みんな高齢になってきたから、来年からもっと量を増やさなきゃなどと考えていたら、これは「祈りの儀式」なのだと発見した次第。
歳の数プラス1、よろしかったら真似てください。
師走のどん詰まりの慌ただしい時期ですが、10年くらいやっていると、だんだん億劫ではなくなりますから😉
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