豆は「しあわせ」のタネである

大豆インキ

うるわしの懐紙に

京都市の油小路二条上ルに「和詩倶楽部」という紙製品を扱っておられる店があります。店名より、「柴田部長」でお馴染みの柴犬がマスコット・キャラクターの店というほうが早いかもしれません。知人から奨められて、どんなお店か覗いてみました。

とてもポップでライトでカラフルな今どきの封筒や便箋、ポチ袋やブックカバー、懐紙(この店での品名は、懐柄紙)などの紙製品が賑やかに並んでいました。その中に、うるわしの懐柄紙を見つけ手にしてみると‥‥

 

大豆インキ使用

懐紙の袋の裏、紙をまとめた帯に「大豆インキ使用」の文字が‥‥

大豆インキを聞いたことはあるけど、具体的なことは知りません。

大豆の油をインクに使っているのは、おそらく懐柄紙に生菓子などの食べ物を直接おくことがあるからだろうと思いながらも、気になったので忘れないように買い求めました。(20枚くらい入って432円)

余談です。この柄は好きですが、事務所の引出しに懐紙はたくさん入っています。「大豆インキ使用」が書かれていなければ、おそらく豆ラボに来ることはなかったでしょう。

 

19歳からずっと、編集や広告の仕事に携わってきて、自分でも印刷物作成のディレクションや発注などするにも関わらず、豆つながりのインクのことを知らないまま済ませるのは、そろそろ終わりにしようと思いました。

 

大豆インキとは?

印刷用インクの業界では、大豆を含む植物油のことを定義し、基準が設けられています。その詳細は、印刷インキ工業連合会さんのHPに書かれています。

石油溶剤を使ったインクは、揮発性有毒化合物を発生するから発ガン性リスクを高め、大気汚染につながるようなことが、都インキさんのHPにもわかりやすく載っています。

大豆インキは揮発性有機化合物の発生がなく、古紙のリサイクルがしやすく、石油資源の枯渇を延ばすようなことも知りました。オイルショックの頃に、アメリカで開発が始まったそうですが、異常気象で大豆を含む植物の生産が落ち込む年もあり、食用の油から、廃油を活用する方向に変わってきたと‥‥。

あぁ、私がボサッと生きてた間に、印刷業会は自分たちの持ち場で環境問題を熟考し、対応を進められていたのですね。ソイインクからベジタブルインク(大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油等植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油を使ったインク)へ、印刷用のインクは移行しています。

 

「食べ物に接する包材を印刷するときは、大豆インクを使う」は、素人考えでした。大豆インキを調べたことで、永続可能な地球環境を考えるための視野が少し広がったかもしれません。

再生紙だけをエコと思っている人たちが、一般的な気がします。植物性インキの長所と短所も読んだし、これから印刷物の発注をするときは少し意識してみようと思います。

豆の代表選手の一つである大豆はこのような役も担っていたのだと知り、うれしく思いました。懐柄紙を買って良かった。(^^)

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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