アリス・ウォータースさんに学ぶシンポジウムに参加しました
びわ湖ホールでシンポジウム開催
4月21日(日)、滋賀県大津市のびわ湖ホールにアリス・ウォータースさんのお話を聴きに行きました。受付開始の30分前到着、展示などを見て席に着きました。同時通訳が聞けるイヤホンをお借りし、たくさんの資料をいただきました。
オーガニック料理の母と称され、全米に「美味しい革命」を起こした料理家・食育研究家のアリスさん。彼女が始めたオーガニック・レストラン『シェ・パニース』は、1971年カリフォルニア州バークレーにオープンし、今では「アメリカで最も予約の取れないレストラン」と云われます。
アリスさんのレシピは世界中に広まり、本を著し、食を通じて教育を変えていく食の活動家としても知られています。「食べることは社会的な行為であり、公平な生活環境の実現や社会変革のための強力な手段である」ことが認められ、2015年にはオバマ元大統領より米国人文科学勲章を授与されました。
私は数年前にアリスさんのことをテレビで知り、本を買い、レシピを再現してみて、「いつの日かアリスさんに会いたい、シェ・パニースで食事をしたい」と念願していました。そのアリスさんが大津に来られることをFbで知り、即、申込み。おかげで、シンポジウムを聴くことができました。Hさんのおかげです。ありがとうございます。
まず、このようなシンポジウムを開催してくださった滋賀県、滋賀県教育委員会、滋賀経済団体連合会に心より感謝します。本当に良い時間でした。ありがとうございます。
このシンポジウムが参加無料だったことが驚きです。定員600名は直ぐにいっぱいになり、キャンセル待ちも多数あったとか。
13:00〜16:40までの時間、ノートの残り30ページでは足りず、裏表紙の表裏、表紙の内側まで、びっしりメモを執りました。第1部のアリスさんのご講演は、聞いている間に涙が出てきました。心の中にずっと潜んでいたモヤモヤが、通訳を介して聴くアリスさんの言葉に答えを得たような気がしました。
アリスさん、滋賀県の皆さま、ありがとうございます。
食・農・暮らしの持続可能な未来 〜アリスさんのスピーチより
シンポジウムは3部構成で開催されました。最初にアリスさんのスピーチから始まりました。講演メモから、私の心に響いたことを書きます(会場ではストロボなしの撮影は許可されていました)。
・米国では約20%の人がクルマの中で食事をとり、子どもたちの2人に1人が肥満状態にある。
・子どもたちはファストフード文化の価値を、望まずして享受している。ファストフード・カルチャーは、均一性や統一性を当然のこととし、独創性を悪とする、スピードを価値とし、より安く、たくさんのものを提供する。
・例えばある会社のハンバーガーや飲み物は、どこの国でも同じでなければならない。どこに行っても知っている同じものがあれば、人々は安心し、それを安く手に入れ、食べる。
・ファストフード文化には熟成の時間が認められない。欲しいものは何でもオンラインで、どこでも、いつでも手に入るようになる。ねじ曲がった入手の可能性は、小さな生産者を生活できなくしてしまう。
・例えば、食べ物。リンゴが成るのを待つより、収穫したリンゴを1年中食べられるよう真空保存したりして、旬がわからなくなっている。
・私たちは誰かと話している途中で、どれくらい携帯電話を見るのだろう? 美しい食を前に、まず写真を撮るのが習慣になっている。
・スマートフォンにたくさんのアプリが入っていると、みんなとつながっている気になる。
・値ごろ感と安さを混同してしまっている。1つ買ったら、1つ付いてくる。安さの裏に本当のコストが潜んでいる。価値が操作されていることに気付いていない。こんな状況下にばかりいると、環境に対する考え方を失う。
・人々は、ただ安さに価値を求めるようになり、皆が安く買おうとすることで、ふさわしい対価を得られない人が出てくる。小さな農家は生活が立ち行かなくなる。
・ゴミ箱は、たくさんのパッケージで直ぐにいっぱいになる。
・より安く、より多く、多ければ多いほうが良いとする価値感が肥満を増やす。
・ファストフード文化のもと、利益を上げるために言葉はゆがめられ、本当の意味が消費者に届かなくなる。ナチュラル、フェアトレード、フレッシュ‥‥それらはセールストークに使われる。「牧草で育った牛」と書かれていても、たった2週間牧草を与えただけでもそう書く。
毎日とる食事が、その人の人となりをあらわす
現在、ファストフードを良しとする価値観が95%を占め、スローフードの価値観を大切にする人が残り5%と云われます。アリスさんは「世界が変わるには長い道のり」と言われていました。
私が3時間半、ペンだこができる勢いでメモを執り続けたノートも、100均さんで買ったノートです。
・ファストフード・カルチャーに対抗できるのはスローフード・カルチャーである。「タネをまいて植物を育てる」、スローフードの価値観は、文明の初期から既に私たちと共にあった。
・食は大地の恵み。収穫する人、売る人、調理する人、食べる人、みんながつながっている。相互のつながりを大切に、感謝しながら、皆の生活がまわっていくように、自分以外の人たちのことを考えながら食べ物をいただこう。
・与える者と受け取る者は、寛大さと感謝を抱きながら密接なつながりがある。スローフードの価値は、皆に役割が生じ、互いの長所に頼りながら、それぞれに役割が生じ、協力することを通じて、そこに皆が含まれること。協力して働くことの中に喜びをみる。
・大切な価値は何か? 同じ食材で同じように作られパッケージ化された食べ物に、選択肢は少ない。シンプルな食事をするとき、食べ物の味がよくわかり、味覚と食への意識が豊かになる。
メモはまだまだ続きますが、まとまらないので一時中断します。
ここに記している多くは、アリスさんの言葉を同時通訳されたものを、私が走り書きのメモにとって、シンポジウムで得た情報と組み合わせて記しています。ゆえに、個人の間違った認識も含まれているかもしれません。
私は「いつかシェ・パニースで食事をしたい」と思っていました。アリスさんのご講演をお聴きした4月21日から1年以内にカリフォルニアに行き、食事をしようと思いました。その店は、アリスさんの原点です。
コメント
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2018年 4月 23日トラックバック:アリス・ウォータースさんシンポジウム2 | 豆なブログ
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2019年 4月 17日トラックバック:サンフランシスコ&「シェ・パニース」へ | 豆なブログ
素晴らしいレポートありがとうございます。
すべて心に響き、残りますが
毎日とる食事がその人の人となりをあらわす。
ドキドキものです、反省しかり。
高橋さん、いつもありがとうございます。
私たちの回りには、食べるもの以外も含めて便利で快適、スピーディでお得なものがいっぱいありますよね。
無意識のうちに選択している多くのモノがあふれて、入りきれなくなっている現状。
アリスさんのシンポジウムは、考えることがたくさんありました。
五木さん、はじめまして
私はアリスさんが始めたエディブル・スクールヤードに心を寄せており、東京でアリスさんにお会いする機会に恵まれました。
滋賀ではどうだったのかな~と探していてこちらにたどり着きました。
スピーチをまとめてくださってありがとうございます。よくわかりました。きっと素晴らしい時間だったでしょうね!!
「いつか」ではなく、カリフォルニアに、私も行きたいと思っています(^^)
Facebookでシェアしたいのですが大丈夫でしょうか。
しまねこや・遠藤かおり
遠藤かおり さま
コメントをいただき、ありがとうございます。
遠藤さまのブログも拝見させていただきました。
アリスさんとリアルにお会いになったのですね。うらやましいです。
私がまとめたスピーチは、ブログにも書いているように完璧ではありません。
聞き違い、認識違いがあるかもしれません。
それでもよろしければ、アリスさんの貴重なスピーチを聴かせていただけた者からの「分かち合いの気持ち」ということで、ご活用ください。
ご覧になった方から「違うよ!」とコメントが入ったりしたら、訂正しますので教えてください。
アリスさんの想いが、たくさんの方々に広まっていきますように‥‥
五木のどか
五木さん、ありがとうございます!
お言葉に甘えてシェアさせてもらいますね。
微力ですが、いろんな方に知ってもらえたら嬉しいです。
滋賀の試み、これからも注目して行きます(*^^*)
えんどう
遠藤かおり さま
こんにちは。
本日、滋賀県のホームページに、先月のアリスさんが来られた日のシンポジウム概要が掲載されているのを見つけました。
わかりやすくまとめてありますので、必要あればご覧ください。
http://www.pref.shiga.lg.jp/a/kikaku/sdgs/symposium_2017.html#alice
五木さん、滋賀県HPの情報ありがとうございます♡小学校の報告も見られて素晴らしいですね。ゆっくり拝見します!!(えんどう)