豆は「しあわせ」のタネである

丹波篠山の黒大豆栽培 日本農業遺産認定シンポジウム

丹波篠山市で開催されたシンポジウムを聴講しました

10月2日(土)13時半から16時まで、丹波篠山市立田園交響ホールで開催された「日本農業遺産認定」の記念シンポジウムに参加させていただきました。

会場には、丹波篠山市で黒大豆栽培に従事しておられる農家さんを中心に、市内の方々が聴講しておられるご様子でした。県外から農業従事者でもない、ただの豆好きが参加し学んだことを、自分の未来のために「おさらい」として記録しておきます。

 

おぼえ書き

日本農業遺産とは

FAO(国連食糧農業機関)が認定する「世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域」を認定する制度の日本版で、2016年から始まった制度です。

2016年と言えば「国際マメ年」として取り組んだのと同じ年から始まったのだと感慨深いものがあります。

 

兵庫県には日本農業遺産が3つ

2021年3月現在、全国で22地域が日本農業遺産に認定されています。そのうちの3地域が、兵庫県に存在します。

◎兵庫美方地域の但馬牛システム

◎丹波篠山の黒大豆栽培(2021年2月認定)

◎南あわじ地域の水稲・たまねぎ・畜産の生産循環システム

関西ではほかに、滋賀県琵琶湖地域、和歌山県3地域(海南市下津地域、高野・花園・清水地域、有田地域)が認定を受けています。

 

丹波篠山の黒大豆栽培が認定されたポイント

・乾田高畝栽培技術 集落が協力して「犠牲田」を設けたことが、黒大豆栽培につながっていきました。

・優良種子生産方式 在来種から優良種子を選抜育種し、市内各所に採種圃場を分散設置するなどして持続的に優良種子を生産してきました。

・自然循環システム 多くの溜池に希少な両生類が生息。黒大豆栽培の灰肥料を作るための灰小屋が240箇所も残り、農の営みが自然環境を守る一助となっています。

灰小屋の灰のおかげで病気が20%抑制され、栽培効率は10〜20%アップするとか。灰小屋って、前に丹波篠山の畑のところで見たことがありますが、土でできたような小屋やブロックっぽい小屋など、どれも小さい小屋でした。

 

丹波篠山黒大豆の起源と子孫

近年発見された最古の史料「料理網目調味抄」によると、丹波篠山で黒大豆栽培が始まったのは300年以上前のこと。

篠山藩からの命令で大庄屋の「波部六兵衛」さんが熱心に取り組まれ、息子の「波部本治郎」さんが志を受け継ぎました。大粒の黒大豆品種を選び出し「波部黒」と名前を付けて、種をお百姓さんに配り、広めていったそうです。

この「波部黒」から「丹波黒」が生まれ、「早生ダダチャ」や「茶っころ姫」にもつながっていきます。

同じく「波部黒」を親として生まれた「新丹波黒」から、「クロダマル」や「紫ずきん」「京白丹波」にもつながっている系図が、私にはとても興味深く感じられました。

 

丹波黒の栽培面積は日本一

黒大豆を自分たちの地域だけに囲い込むことをせず、種子を分け与えて黒大豆栽培を全国に広めた丹波篠山の人たち。丹波種黒大豆は京都や岡山、香川などでも栽培されています。

2018年産データによると、丹波篠山市が557ha(18.3%)で全国第1位、そして2位は一つ前のブログに書いた岡山県勝央町の251ha(8.2%)でした。

丹波篠山市の黒大豆栽培面積は年々増え、2019年には777haまで増えています。農家さん以外も含め、市内で2,660戸が黒大豆を栽培されています。ちなみに丹波篠山以外では、黒大豆の栽培面積は年々減っているとか。

 

こうしてシンポジウムに参加し、改めて丹波篠山の黒大豆や黒枝豆について学ばせていただいたことで、明日10月5日に「解禁」を迎える黒枝豆を、いっそう美味しく感じることでしょう。

10月16日(土)、17日(日)の両日、午前11時〜 今年最後の枝豆ワークショップを開催します。丹波篠山の黒枝豆をテーマに、皆さまと「おいしい時間」が過ごしたいと考えています😀

 

ワークショップについては、コチラをご参照ください。

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豆・豆料理探検家
豆料理アドバイザー

五木 のどか

福岡県生まれ、京都市在住。個人事務所 who(ふー)所属。豆の原稿執筆、レシピ開発、販売促進などに携わる傍ら、豆好きな人を増やすため、豆料理の楽しさやおいしさ、使い方を伝える活動を展開している。 | 詳細はこちら
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